屋上のアスファルト防水を重ね張り|港北区の現場で職人が見た膨れと継ぎ目

屋上の防水を直すとき、「今の防水層はすべて剥がすのか、それとも上から重ねられるのか」は気になるところです。判断には、表面の色だけでなく、シートの膨れや破れ、壁際の浮き、継ぎ目の状態を確かめる必要があります。

横浜市港北区の集合住宅では、既存のアスファルト防水を活かし、傷んだ部分を補修したうえで新しいシートを重ねる改修を行いました。今回は、トーチバーナーの熱でシートを接着する「トーチ工法」の工程と、その途中で職人が何に気を配ったのかをご紹介します。

目次

1.銀色の表面だけでは判断しない、屋上防水の状態確認

施工前の屋上には、銀色のトップコートが比較的よく残っていました。トップコートとは、防水層の表面を保護するための塗料です。担当職人も全体の見た目については、それほど劣化が進んでいない印象を持っていました。ただし、表面がきれいに見えることと、その下の防水層に不具合がないことは別の話です。

職人が調査で特に見ると話していたのは、膨れと破断です。広い床面に膨れがどの程度あるか、壁と床が交わる入隅に浮きがないか、シートが引っ張られていないかを確認します。不具合の有無だけでなく、その範囲や数によっても、既存の層を活かせるか、湿気を逃がす仕組みをどう考えるかが変わります。

この現場では、平らな床面を活かして重ね張りする一方、立ち上がりの防水層は撤去して施工しました。同じ屋上でも、広い面と端の部分を一律に扱わず、それぞれの状態に応じて工事を組み立てています。

工法の基本は、関連記事「改質アスファルト防水トーチ工法」でも説明しています。重ね張りができるかどうかは、現地の下地や既存防水層を調べて判断します。

2.立ち上がりの撤去と、膨れた部分の補修

屋上の周囲には、防水層が壁に沿って上へ続く「立ち上がり」があります。今回の工事では、その上部を覆っていたアルミ製の笠木を外し、立ち上がりの既存シートを撤去しました。笠木を外すことで、普段は隠れている上端まで作業できる状態にしています。撤去後は下地を整え、新しい防水材の接着を助けるプライマーを塗布しました。

一方、床面で膨れがあった部分は切り開いて補修しました。開いた箇所に見える黄色い部分は、もともと入っていた断熱材です。その表面を覆っていた黒い被膜の一部が剥がれ、断熱材の色が見える状態になっていました。表面からは分からない層の状態も確認しながら、補修を進めています。

補修では、浮いた部分を納め直し、既存の防水層を再び密着させています。上から新しいシートを貼る工事でも、その下に残る膨れを見過ごしてよいわけではありません。塗装職人が過去の防水工事でも伝えてきた、仕上がりの下に隠れる下地補修を大切にする考え方が、この工程にも表れています。

3.下張りと脱気筒を整え、継ぎ目の位置を考える

立ち上がりの下張りには、裏面に粘着層があるポリマリットGLを使いました。剥離紙を剥がし、シートを貼ってローラーで押さえる工程です。今回のトーチ工法では、すべてのシートを同じ方法で貼っているわけではありません。粘着層を使う下張りと、火を使って接着する上張りとで、材料と作業を使い分けています。

床面にも、新しいシートを貼る前の下地処理を行いました。防水層を重ねるには、残す面と新しく施工する面の接着を考える必要があります。広い面を覆う作業に進む前に、立ち上がりと床面の準備をそれぞれ進めました。

もう一つ、職人が強調していたのが継ぎ目の位置です。既存シートの継ぎ目と、新しく重ねるシートの継ぎ目が同じ位置に集中しないように配置を考えます。重なりによる厚みが一か所に集まることや、上下の同じ位置に弱点ができることを避けるためです。

既存の樹脂製脱気筒も新しいものへ更新しました。脱気筒は、防水層の下にある湿気を外へ逃がすための部材です。交換する部材だけに目を向けるのではなく、周囲に貼るシートや継ぎ目との関係も考えて納めます。今回も、台座の固定とまわりのシート処理を行い、床面の防水につなげていきました。

4.トーチ工法は、火加減と密着の確認が要になる

下地を整えたら、床面に新しい改質アスファルトシートを貼ります。トーチ工法は、シートの裏側をバーナーで加熱し、アスファルトを溶かしながら下地へ接着させる方法です。ロールを広げる動きと加熱を合わせ、シート同士の重なりも接着していきます。

職人の説明では、加熱が弱ければ十分に接着せず、浮きにつながります。反対に、加熱しすぎるとシートを傷めたり、溶けた面に足跡がついたりすることがあります。強い火を当てればよいのではなく、溶け方を見ながら加熱と押さえを調整することが大切です。

火を使う工事では、作業する場所だけでなく、ガス容器やホースの位置にも注意が必要です。担当職人も、トーチ工法で最も注意することとして火災を挙げていました。接着のための加熱と、周囲への火気の影響を同時に見ながら進める工程であり、専門の施工者による判断が欠かせません。

下の関連動画は、当社が別のマンションで行ったトーチ工法の施工です。今回の現場とは別ですが、バーナーを用いる工事の様子を知る参考になります。

関連動画(別現場):横浜マンション屋上のアスファルト(トーチ)防水工事

5.笠木の金物まわりと、防水層の端まで仕上げる

床面を広く貼り終えても、屋上防水の作業は続きます。今回の現場では、立ち上がりの上張りを床面の施工後に進めました。壁際から上端へとシートを納め、笠木を支える金物が残る部分にも対応しています。

金物がある場所は、広い面のようにシートをそのまま貼ることができません。形に合わせて加工し、既存のアスファルト層との接着をとりながら納めました。さらに、防水層の端にはアスファルト系のシーリング材を用いて仕上げています。シートを貼ることと、その端を処理することは、一続きの防水をつくるための作業です。

屋上の見積もりを見る際も、床面の面積や防水材の名称に加え、笠木の脱着、立ち上がり、脱気筒、端部の処理がどこまで含まれているかを確認すると、工事の内容を理解しやすくなります。広い面だけでは分からない細部に、その建物に必要な工事が含まれています。

改修する範囲の考え方は、別現場の関連記事「屋上防水の部分改修を横浜市で実施」も参考になります。全面改修か部分改修かは、傷みの場所と範囲を確かめて検討します。

6.トップコートと笠木の復旧、改修後の見守り方

防水シートの施工と端部の処理を終え、表面を保護するトップコートを塗布しました。トップコートは、新しくつくった防水層を保護する仕上げです。今回の工事は、表面を塗り替えただけではなく、下地の補修、シートの施工、脱気筒の更新を行ったうえで仕上げています。

工事のために外していたアルミ笠木は、新品へ交換したものではなく、既存の部材を復旧しました。広い屋上での作業中は、外した笠木や資材を仮置きし、施工が進んだ場所に合わせて移動させながら作業しています。防水を仕上げる面を確保し、部材を戻すところまで考えることも、現場を進めるうえで必要な段取りでした。

改修後は、排水口にごみがたまっていないか、表面に新しい膨れや破れがないかなどを、点検の機会に確認していくことが大切です。屋上への出入りに危険がある場合は、無理にご自身で確認せず、施工会社へ点検を相談してください。気になる変化を伝える際には、見つけた場所や時期、雨の後に水が残るかを整理しておくと、状況を共有しやすくなります。

屋上防水の工法は、名称だけで決まるものではありません。この現場でも、残せる既存の層を活かしながら、膨れた部分や壁際、継ぎ目、金物まわりへ個別に手を入れました。塗装職人では、こうした現場の状態と工事の目的をお伝えしながら、建物に合う改修を考えていきます。

改質アスファルト防水の施工をさらに知りたい方は、こちらの別現場の関連動画もご覧ください。

関連動画(別現場):屋上防水を改質アスファルトで施工する マンション大規模修繕
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