横浜市港北区 マンション外壁タイル浮き補修 注入工事とピン固定の施工事例

外壁タイルは意匠性が高く、建物の印象を引き締めてくれる仕上げです。一方で、築年数の経過や下地の動き、雨水の影響などが重なると、タイルと下地の接着が弱くなり、タイルが“浮く”症状が出ることがあります。浮きが進行すると、打診で軽い音がしたり、目地に細かな割れが出たりし、最悪の場合は剥落(落下)につながるため注意が必要です。

今回は横浜市港北区の現場で、浮きが確認された範囲に対して、エポキシ樹脂注入+ステンレスピン固定(ピンニング)の補修工事を行いました。写真の流れに合わせて、工程をご紹介します。

目次

タイル浮き 施工前

最初に行うのは、浮きの疑いがある範囲の確認と、作業エリアの明確化です。打診結果などをもとに、必要な範囲だけを施工対象とし、余計な場所を触らないようにします。

壁面に青いマスキングテープで四角く範囲取りをしているのは、「ここからここまでを補修します」という目印であり、同時に周囲への汚れ付着を防ぐためでもあります。タイルは周辺と質感が違うと補修跡が目立ちやすいので、最初の段階で施工範囲を丁寧に区切るのが大切です。

タイル浮き施工前
タイル浮き施工前

へパフィルター付きドリルで穿孔

次に、浮いているタイルの裏側へ樹脂を届けるための注入口(穿孔穴)を作ります。ここで重要なのが、粉じんをできるだけ出さないこと。

外壁タイルの穿孔は粉が出やすく、周囲を汚す原因になりますが、集じんしながら作業することで、清掃負担も減り、近隣配慮にもつながります。

穿孔位置は、浮きの中心や端部など、樹脂が回りやすいバランスを見ながら決めていきます。闇雲に穴を開けるのではなく、「どこから入れて、どこまで行き渡らせるか」を考えた配置が仕上がりを左右します。

へパフィルタ―付きドリル穿孔
へパフィルタ付きドリル穿孔

注入口の清掃

穴を開けたら、すぐ注入…ではありません。実は、ここがとても大切で、穿孔した穴の中にはタイル粉や細かな切粉が残っています。

これが残ったままだと、樹脂が下地に密着しにくくなり、せっかく注入しても効果が落ちてしまいます。

スプレーやブローを使って注入口内部をしっかり清掃し、粉を飛ばして“受け入れ態勢”を整えます。小さな工程に見えますが、ここを丁寧にやるほど注入後の一体化が良くなります。

注入口清掃
注入口清掃

エポキシ樹脂注入

清掃が終わったら、いよいよエポキシ樹脂の注入です。エポキシは接着力が高く、浮きの空隙へ入り込むことで、タイルと下地を再び一体化させます。

注入口に対して注入ガンで樹脂を押し込んでいる状況が確認できます。注入は「入れればOK」ではなく、入り方(圧・量・スピード)の管理がポイントです。急ぎすぎると樹脂が戻ってきたり、狙った空隙に回らなかったりします。状態を見ながら、じわっと効かせるように注入していきます。

また、写真では注入口に白い紙のようなものが付いていますが、これは作業中に樹脂が垂れたり広がったりしないようにする簡易的な受け・養生の役割もあります。こうした一手間で、壁面を汚さずきれいに仕上げやすくなります。

エポキシ樹脂注入
エポキシ樹脂注入

ステンレスピン挿入

エポキシで密着を回復させても、外壁は常に動きます。温度変化、振動、建物の微細な揺れ…。そこで今回は、接着だけに頼らず、ステンレスピンを挿入して機械的に固定する「ピンニング」を組み合わせました。

穴へ向けて工具を当て、ピンを挿入している工程が写っています。ステンレスは錆びにくく、外壁の補修に適した材料です。ピンを入れることで、万が一接着力が落ちる状況が起きても、タイルが“抜け落ちる”方向へ動きにくくなり、剥落リスクをぐっと下げられます。

ステンレスピン挿入
ステンレスピン挿入

注入口の埋め戻し

注入とピン挿入が終わったら、注入口をそのままにするわけにはいきません。穴が空いたままだと、水が入る原因になったり、外観上も目立ってしまいます。

そこで、注入口は材料に合わせて適切に埋め戻しを行います。周囲のタイル色や目地のラインを崩さないように整えながら、表面をならして仕上げます。写真のように範囲を区切っておくと、補修箇所の管理がしやすく、施工品質も安定します。

注入口埋め戻し
注入口埋め戻し

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施工後

最後に、注入が効いているか、固定が取れているかを確認します。打診で「軽い音」が改善され、しっかり詰まった音に変わっていれば、浮きの空隙が埋まり、一体化できたサインです。

作業範囲内の処置が終わると、外観も落ち着き、必要な補修を必要な範囲にだけ行った状態になります。今回の工事は、タイル全面を張り替えるのではなく、“剥落リスクのある浮き部だけを確実に止める”のが目的です。こうした部分補修は、費用面・工期面の負担を抑えながら、安全性を上げる有効な選択肢になります。

施工後
施工後

タイル浮きは「早めの部分補修」がいちばん合理的

タイルの浮きは、見た目では分かりにくいことが多いです。だからこそ、軽微なうちに打診で見つけて、今回のようにエポキシ注入+ステンレスピンで手当てしておくと、将来的な剥落事故を防ぎやすくなります。

「今すぐ落ちそうではないから…」と後回しにしがちですが、外壁は人通りや駐車場に面していることも多く、万一が起きると被害が大きくなります。気になる症状があれば、まずは部分的な調査からでも十分価値があります。

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