横浜市港北区賃貸マンションにおける大規模改修工事 防水補修や雨漏り修繕で資産価値を守る施工事例
横浜市港北区にある築37年の賃貸マンションで、大規模改修工事を行いました。年月の経過とともに、外壁や出窓、幕板、基礎などのさまざまな箇所に劣化が見られ、雨漏りや腐食が進行していました。特に出窓の天端や幕板のジョイント部は、雨水が侵入しやすい弱点を抱えており、居住者にとっても安心できない状態でした。
今回の現場では、ウレタン防水やオーバーブリッジ工法など、建物の状況に合わせた方法を選び、防水性能を回復させています。その施工内容と仕上がりについて一つひとつご紹介します。
出窓天端のウレタン防水工事
出窓の天端は雨や紫外線の影響を最も受けやすい場所であり、築37年が経過した今回の建物でも大きな劣化が見られました。鋼板部分では塗膜が剥がれて赤サビが進み、壁との取り合い部では古いシーリングが硬化してひび割れやすき間が生じていました。そのため、雨水が内部へと浸入し、室内のシミやカビの原因になっていたのです。
現場調査では、表面的な劣化だけでなく、過去の施工によるビス貫通やシーリング破断といった人為的要因も確認されました。こうした条件が重なると防水性能は著しく低下するため、単なる部分補修では再発の恐れがあります。そこで今回は、柔軟性と密着性に優れ、複雑な取り合い部にも対応できるウレタン塗膜防水を採用しました。

まず表面を清掃し、油分や汚れを除去したうえでプライマーを塗布して下地を整えました。その後、ウレタン防水材を複数回に分けて塗り重ね、十分な膜厚を確保します。さらに防水層が破断しやすい角や立ち上がり部分には補強用のメッシュシートを挟み込み、動きに追従できるようにしました。最後にトップコートを仕上げとして塗布し、紫外線や風雨から防水層を長期的に保護しています。
これにより、出窓天端は再び確かな防水性能を取り戻しました。見えにくい部分ではありますが、ここを確実に処置することで雨漏りの再発を防ぎ、居住者が安心して暮らせる環境を守ることにつながります。



幕板ジョイント部のシーリング打ち替え
次に問題が見られたのは幕板のジョイント部です。長年の風雨にさらされたことでシーリングが痩せ、剥がれや隙間が目立っていました。小さな隙間でも水が入れば、外壁下地を弱らせてしまいます。



そこで古いシーリングをすべて撤去し、下地を清掃したうえでプライマーを塗布しました。その後、新しい変成シリコーン系シーリングを二面接着で充填し、動きに追従できる柔軟な防水ラインを作り直しました。均一に整ったシーリングは、見た目にもきれいで、外壁全体の耐久性を支える役割を果たしています。


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幕板ジョイント部のオーバーブリッジ工法
ただ、幕板は突き合わせの構造上、どうしても弱点が残ります。シーリングだけでは再び劣化が早まる可能性があるため、今回はオーバーブリッジ工法を採用しました。



まずジョイント部に切り込みを入れて目地幅を確保し、新しいシーリングを打ち直します。その上からさらに防水層を覆うように設けることで、雨や紫外線が直接当たらない仕組みにしました。表面は丁寧に均して段差をなくし、見た目の自然さも大切にしています。これにより、幕板の弱点を補い、より長持ちする防水ラインを確保することができました。



外壁クラックの補修
外壁には細かなひび割れがいくつも見られました。中には0.5ミリを超えるクラックもあり、放置すると雨水が浸入して鉄筋を錆びさせたり、モルタルの剥離を招いたりする恐れがあります。



そこでクラックをU字に切削し、内部をきれいに清掃したあとプライマーを塗布しました。続いて高弾性のシーリング材を充填し、建物の動きに追従できるように仕上げています。補修後は周囲の模様になじむよう整えられており、見た目を損なうことなく外壁の健全性を取り戻しました。



基礎取り合い部の補修
建物の足元にあたる基礎取り合い部も、地面からの水はねや湿気で傷みが進みやすい場所です。実際に劣化が進行し外壁材が剥がれ、内部の鋼材にサビが見られました。このような症状を放置すれば、建物の安全性にまで影響が及びかねません。


そこで劣化した部分を撤去し、錆を落として防錆処理を施しました。さらにエポキシ樹脂系のパテで欠損を補い、モルタルで断面を復旧。最終仕上げには塗装を行い、外観と耐久性を兼ね備えた仕上がりになりました。普段は目に入りにくい場所ですが、こうした補修が建物全体を長持ちさせるためには欠かせません。



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大切な建物を守る細かな補修工事の重要性
今回の大規模改修工事では、出窓天端の防水、幕板の打ち替えとオーバーブリッジ補強、外壁クラックの処置、基礎部の補修を行いました。どの作業も一見小さな施工のように見えますが、建物を長く安全に保つためには非常に重要です。
今回の改修を終えたことで、雨漏りの不安は解消され、入居者の方々にも安心して暮らしていただける環境が整いました。防水工事や補修は、建物の資産価値を守り、将来の大きな修繕コストを防ぐための投資でもあります。
築年数が進んだ建物にお住まいの施主様やオーナー様にとって、この施工事例が大規模改修を検討する際の参考になれば幸いです。