横浜市の屋上防水工事　支柱根元と笠木目地の雨漏りを防ぐ見えない工夫とは

2025年5月29日

今回の施工は、横浜市内の築20年超の集合住宅屋上で実施しました。オーナー様から「最上階の一室で雨染みがある」とのご相談があり、点検を行ったところ、屋上の手すり支柱の根元と笠木（腰壁の上端）の目地部分に劣化が集中していたことが判明。

建物の構造では、異なる素材が交わる「取り合い部」に最も負担がかかりやすく、特に支柱周りや笠木の継ぎ目は、風雨や紫外線によりシーリング材が劣化しやすい場所です。

ここにわずかなすき間が生まれると、内部の躯体まで雨水がじわじわと侵入し、腐食や浮き・剥がれを招く原因になります。今回の施工では、「オーバーブリッジ工法」と呼ばれる柔軟性のある防水処理を行い、さらに仕上げに三角シールを施すことで水はけと美観も向上させました。

実際に現場で行ったオーバーブリッジ工法の施工手順や、各工程での注意点、防水の専門的な視点についてもわかりやすくご紹介しています。建物を雨から守るために、見えにくい部分でどのような工夫がされているのか、その一例としてぜひ参考にしていただければと思います。

接着力を最大限に高めるための下地準備

まず行ったのは、支柱根元や笠木目地に残っていた古いシール材や汚れの除去、乾燥状態の確認です。防水材がいくら良質でも、下地が汚れていたり湿っていたりすれば、早期に剥離や膨れを起こす原因になります。

その後、専用のプライマー（下塗り材）を塗布し、防水材との密着性を高めていきます。支柱の根元など狭い箇所は刷毛を使って奥まで丁寧に塗る技術が問われる作業です。

プライマーが乾燥した後は、シーリング材を取り合い部の奥までしっかりと充填します。この段階では見た目の整形よりも、「すき間を残さず、奥から詰めること」が目的。支柱の根元や目地の深部まで材料が届いていないと、施工後に膨れや水抜け不良が起きる恐れがあるからです。

また、笠木の目地にはバックアップ材（発泡材）をあらかじめ挿入して、目地の深さを調整。これにより、シーリング材の厚みと可動性のバランスが確保され、防水層が建物の動きに追従しやすくなります。

シーリング材を充填したら、金ベラや専用ヘラを使って適切な膜厚になるように成形します。このとき重要なのは、ただ平らにするのではなく、水が溜まらず流れやすい形状を意識すること。

支柱根元は四方向に立ち上がりがあるため、角に材料が薄くならないよう少し盛り気味に調整します。笠木のジョイント部では、左右からの押さえでアーチ状になるよう整えることで、今回採用したオーバーブリッジ形状が出来上がります。

シーリング材は時間とともに硬化が進むため、仕上げ工程にはタイミングの見極めが求められます。硬化が不十分なうちに手を加えると形が崩れ、逆に遅すぎると材料が固まりすぎてテープが引きつれたり、端部がささくれてしまいます。

マスキングテープをちょうどよいタイミングで剥がしながら、エッジを滑らかに整え、最後に必要に応じて三角形の仕上げシールを追加します。これがあることで、端部からの水の侵入や、紫外線による劣化が起きにくくなります。

施工中、特に印象に残ったのは、支柱根元の旧シーリング材を剥がした瞬間、内部が空洞化していたことです。表面からはわからなくても、内部ではすでに水の侵入口が形成されていたことが確認できました。

こうした現場に立つたび、改めて感じるのは、防水は“壊れてから直す”のではなく、“壊れる前に守る”ための仕事だということです。華やかさはありませんが、見えないところで建物の寿命を大きく左右する。そんな仕事だからこそ、職人の目と手を信じて、細部にこだわって仕上げています。

【シーリング工事関連動画】

今回のように支柱根元や笠木ジョイントのような動きやすい取り合い部には、従来の防水では対応しきれないケースもあります。オーバーブリッジ工法のように、建物の揺れや伸縮に追従できる防水処理を施すことで、10年先・15年先の安心をつくることが可能になります。

目に見えないすき間や、細いひび割れから入った水が、建物にとっては“深刻な入り口”になりうることもあるのです。「なんとなく心配だけど、どこを見ればいいかわからない・・」そんな時は、屋上の支柱周りや目地を見てみてください。

そして、気になる点があれば、ぜひ私たちのような専門業者にご相談ください。横浜市を中心に、細部にまでこだわった防水工事を行っております。安心して暮らせる建物のために、これからも見えない安心を丁寧に作ってまいります。