横浜市中区 築40年の屋上 ウレタン通気緩衝工法で安心の防水リニューアル!その2

防水工事というのは、単に「雨漏りを防ぐ」だけではありません。建物を長持ちさせるために、どのように水の動きを制御するか、下地の状態にどう向き合うかが問われる仕事です。

今回の現場も、その重要性を改めて考えさせられるものでした。築40年が経過し、既存のウレタン防水層は膨れや破断が目立つ状態。

特に排水ドレイン周りは、以前の改修で適切な処理がされておらず、水の流れを妨げる要因 になっていました。この状況を踏まえ、ウレタン通気工法を採用し、適切な水処理と耐久性の向上を目指した施工を行いました。

前回の記事ではプライマー塗布までをご紹介しましたが、今回はその続きとして、通気層の施工から補強作業までをお伝えします。

目次

通気層(QVシート)の敷設

防水工事において、通気層の施工はまさに「土台作り」 と言えます。この層がしっかり機能することで、防水層内部の水分を適切に逃がし、膨れを防ぐことができます。

屋上には室外機や架台、配管が点在しており、まっすぐシートを敷くだけでは済まない という難しさがありました。そのため、現場では 数センチ単位で細かく採寸し、できるだけ継ぎ目を減らす工夫 を重ねました。

通気シートはロール状になっているため、巻き癖をしっかり伸ばしながら慎重に設置 していきます。わずかなシワや浮きも、仕上げ後に影響を及ぼすため、手作業で丁寧に圧着 していくことが求められます。

防水工事では「室外機の下をどう処理するか」も大きな課題のひとつです。動かせるものは一時的に持ち上げ、その下にも通気シートを敷設 しました。

しかし、すべての室外機を動かせるわけではありません。そういった場合には、シートを滑り込ませる形で施工 し、可能な限り通気層の連続性を確保しました。こうした細かな積み重ねが、防水工事の仕上がりを左右します。

ジョイント処理(テープ貼り)

通気シートを敷き詰めた後は、シート同士のつなぎ目(ジョイント部分)をテープでしっかり密閉します。この処理が甘いと、隙間から水や湿気が入り込み、せっかくの通気層が機能しなくなります。

エンドテープは、通気シートの継ぎ目を防水するための専用テープです。このテープを適切に貼らないと、後々シートが浮いたり、防水層が弱くなったりするリスクがあります。

そのため、ローラーを使って圧着しながら、確実に密着させていきます。特に、入り隅(コーナー部分) ではシートの収まりが悪くなるため、職人がテープをL字やコの字にカットしながら丁寧に貼り込んでいきました。

ジョイントテープ貼り付け

排水ドレイン周りの補強

屋上防水の中でも、劣化が進みやすいのが排水ドレン周り です。今回の建物も、以前の工事で適切な処理がされておらず、水の流れが悪くなっている 状態でした。

排水口は、水がスムーズに流れるようにすり鉢状の勾配 がついています。この部分の処理が不十分だと、シートが浮いたり、シワができたりして、排水不良や漏水の原因 となります。

そのため、排水口周囲には補強クロスを貼り、通気層との取り合いを確実に防水しました。改修用ドレンの設置は、最終的な防水層の仕上げと密接に関わるため、この段階では一旦通気シートの上に仮設置し、後でウレタン防水を施した後に適切な形に仕上げていきます。

脱気筒の設置

通気層を機能させるためには、防水層内部の湿気を排出する脱気筒の設置が欠かせません。

まず、脱気筒の設置位置をマーキングし、ドリルで穴を開ける作業を行いました。この作業は、湿気を効果的に逃がすための重要な工程 です。

適切に穴を開けておかないと、湿気が抜けず防水層の膨れや劣化を早めてしまう可能性があります。

穴を開けた後、アンカーを挿入しビスでしっかり固定しました。さらに、脱気筒の裏側には シーリング材を充填し、防水性を高める処理を施しました。

屋上防水の雨漏りしないメカニズムをご紹介します。宜しければご覧いただければと思います。

まとめ

今回の防水工事では、通気層の設置と補強作業を徹底 し、防水層内部の湿気を適切に排出できる仕組みを構築しました。

特に、排水ドレインの改修や脱気筒の設置 では、職人の技術が活かされ、細部まで丁寧に施工しています。

今後、防水層の本塗りを行い、耐久性と防水性を兼ね備えた仕上がり を目指します。建物の寿命を延ばすための大切な工程が続きますので、次回もぜひご覧ください。


目次