屋上ゴムシート防水の劣化と改修工事|その2

今回は前回のブログに引き続き、横浜市保土ヶ谷区の3階建て建物の屋上で行ったウレタン塗膜防水(通気緩衝工法)の施工事例をご紹介します。

今回の現場では、既存の防水層がゴムシート防水だったため、下地の状態を十分に確認した上で、適切な施工方法を選定しました。

特に今回は伸縮目地のシーリング施工とAVマット(通気緩衝マット)施工に重点を置きながら、詳しく解説していきます。

目次

防水の耐久性を左右する「伸縮目地」の重要性

防水工事において、伸縮目地のシーリング処理は非常に重要な工程です。建物は温度変化や地震の影響を受け、日々わずかな伸縮や振動を繰り返しています。

その動きに対応し、建物のひび割れや防水層の損傷を防ぐ役割を持つのが伸縮目地です。

しかし、この伸縮目地のシーリング材が劣化すると、防水機能が低下し、雨水が侵入するリスクが高まります。適切な材料選びや施工方法が、防水工事全体の耐久性を左右するポイントとなります。

1. 伸縮目地に適したシーリング材の選定

シーリング材には、以下のような種類があります。

ポリウレタン系シーリング材(高い伸縮性・耐久性)

変成シリコーン系シーリング材(密着性が良いが、塗装との相性を考慮する必要あり)

シリコーン系シーリング材(防水性は高いが、塗装がのらない)

今回の施工では、防水層との密着性が高く、伸縮目地の動きに追従しやすいポリウレタン系のシーリング材を採用しました。

2. シーリング施工のポイント

シーリング処理を適切に行うためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

①旧シーリング材の完全除去

劣化したシーリング材が残っていると、新しいシーリングの密着が悪くなるため、カッターや専用工具でしっかり除去します。

②プライマーの適切な塗布

シーリング材の密着性を向上させるため、専用のプライマーを塗布し、十分に乾燥させます。 施工不良の原因となる「乾燥不足」に特に注意し、均一に塗布することが重要です。

③均一なシーリング材の充填

伸縮目地の幅と深さに応じた適切な量を専用ガンで均一に充填します。充填後はヘラで押さえ、目地全体に行き渡らせながら滑らかに仕上げることで、耐久性を向上させます。

これらの工程をしっかりと行うことで、伸縮目地が防水層の「弱点」となるのを防ぎ、長期間にわたって防水性能を維持できるようになります。

実際のシーリング施工作業の様子をご紹介します。合わせてご覧ください。

伸縮目地のシーリング充填

防水施工の耐久性を高めるためには、下地処理が非常に重要です。

特に伸縮目地は、建物の動きに対応する柔軟性を持たせるための部分なので、適切なシーリング材を使用し、確実に充填する必要があります。

1. 伸縮目地の既存シーリング撤去

まず、劣化した既存のシーリング材を撤去します。劣化したシーリング材は硬化し、ひび割れや剥離を起こしているため、そのまま上から新しいシーリングを充填しても密着性が悪く、防水効果が十分に発揮されません。カッターや専用工具を使用し、目地内部の残留シーリング材を丁寧に除去しました。

2. プライマーの塗布

シーリング材の密着性を高めるために、プライマーを塗布します。写真にもあるように、目地部分が黒くなっているのはプライマー塗布後の状態です。

このプライマーがしっかり乾燥していないと、シーリング材がうまく接着しないため、乾燥時間を適切に確保しました。

3. ポリウレタン系シーリング材の充填

伸縮目地には、専用のシーリングガンを使い、歯磨き粉のような粘性のあるシーリング材を目地に均等に充填していきます。

シーリング材が均等に行き渡るようにヘラで押さえ、表面を滑らかに仕上げました。シーリングが完全に硬化するまでには時間がかかるため、次の工程に進む前に十分な乾燥時間を確保します。

なぜ通気緩衝工法にAVマットが必要なのか?

ウレタン塗膜防水には、大きく分けて密着工法と通気緩衝工法の2種類があります。

密着工法は、下地に直接ウレタンを塗る方法で、施工が簡単な分、下地の状態に大きく左右されます。

通気緩衝工法は、下地の影響を軽減しながら、防水層の膨れを防ぐために採用される工法です。

ここでAVマットの役割が重要になってきます。

1. 防水層の膨れを防ぐ

下地に水分が残っていると、施工後に気温が上がった際、水蒸気が発生します。密着工法の場合、この水蒸気が逃げ場を失い、防水層が膨れてしまう原因になります。

しかし、AVマットを敷設することで、下地と防水層の間に空気の通り道が生まれ、水蒸気を逃がしやすくすることができます。さらに、脱気筒を併用することで、下地の余分な水分を効率的に排出することが可能です。

2. 建物の動きに追従しやすいクッション材としての役割

建物は、日々の温度変化や振動によって微細な動きを繰り返しています。特に屋上は、太陽の熱を直接受けるため、昼と夜の温度差が大きく、下地が膨張・収縮を繰り返します。

AVマットにはクッション性があり、防水層が建物の動きに追従できるため、防水層のひび割れや剥離を防ぐ効果があります。

3. 下地の影響を受けにくくする

古い防水層を撤去せずに、そのまま新しい防水工事を行う場合、下地には凹凸や劣化部分が多く残っています。AVマットを敷設することで、下地の不陸(でこぼこ)を吸収し、防水層を均一に仕上げやすくする効果もあります。

通気緩衝工法の要「AVマット」の機能と施工ポイント

今回採用した通気緩衝工法は、下地に含まれた水分を逃がしながら防水層を形成する工法です。

その要となるのが、AVマット(通気緩衝マット)です。

1. AVマットの役割

防水層の膨れ防止

下地に水分が含まれていると、気温の変化によって水蒸気が発生し、防水層が膨れる原因になります。AVマットを敷設することで、水蒸気を適切に逃がし、防水層の膨れを防ぐことができます。

防水層の耐久性向上

防水層の下にクッション性のあるマットを敷くことで、建物の動きに対する追従性が向上し、防水層のひび割れや破損を防ぎます。

2. AVマット施工のポイント

AVボンドを均一に塗布する

ボンドが乾く前にマットを貼り付けるため、作業のスピードと精度が求められる工程です。風が強い日はボンドが乾燥しやすく、AVマットがめくれやすいので慎重に作業を進めます。

AVマットをしっかり密着させる

ヘラやローラーを使って均等に圧着し、マットが浮かないように注意します。

まとめ

今回の施工では、「伸縮目地のシーリング」と「AVマット施工」について紹介しました。伸縮目地は建物の動きに対応する大切な部分で、ここが劣化すると防水層のひび割れや剥離を引き起こす原因になります。適切なシーリング処理が、防水の耐久性を大きく左右します。

また、AVマットは通気緩衝工法の心臓部ともいえる存在で、下地にこもった水分を逃がしながら、防水層の膨れを防ぐ重要な役割を果たします。施工精度が低いと、せっかくの防水工事が台無しになってしまうことも。

だからこそ、細部までこだわった職人の技術が、防水工事の品質を決めるのです。しっかりとした施工で建物を長く守るためにも、弊社では見えない部分の丁寧な仕事をご提供しています。

些細なことでも構いません。防水のことで分からないことがありましたらお気軽にご相談ください。

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