塩ビシートからウレタン防水へ!横浜市の5階建てRC建物の屋上リニューアル【後編】

前編までは、既存防水層や下地の補修、注入口処理など、屋上防水工事の基礎を作るための工程を解説しました。
後編では、塩ビシート専用プライマーの塗布からウレタン塗膜防水施工、遮熱トップの仕上げ、最終的なドレン設置といった、工事の完成に向けた重要な工程を取り上げます。
これらの作業は、防水層全体の機能性や耐久性を大きく左右します。それでは、ウレタン塗膜防水の全貌を解説します!
1.塩ビ用プライマー塗布
既存塩ビシートの上に、塩ビ下地専用プライマーを塗布しました。このプライマーは、塩ビシートの表面と新しい防水層を確実に密着させるために使用されます。
施工にはローラーを用い、均一に薄く塗布しました。プライマー塗布は、防水層が長期にわたり剥離せず安定した性能を発揮するための非常に重要な工程です。

2.エポキシ系樹脂モルタル施工後の確認
エポキシ系樹脂モルタルによる成形が完了した部分を再度確認しました。この工程では、補修箇所の平滑性を重点的にチェックし、防水層施工に影響を及ぼさない状態を確保しました。
モルタルの硬化が均一に進んでいることも確認済みです。

3.立ち上がりプライマー塗布
屋上の立ち上がり部分には、塩ビ用プライマーを6インチのローラーを使用して塗布しました。
立ち上がり部分は、雨水が溜まりやすく漏水リスクが高い箇所であるため、プライマーをムラなく塗布し、次の工程に備えました。プライマーの施工精度は、防水層全体の性能に直結します。

4.補強ガラスクロス施工
塩ビシートの既存下地ジョイント部分には、補強用のガラスクロスを施工しました。
これは、AGC製ES工法において必須の補強工程であり、ジョイント部や出隅(立ち上がり部分の角)に加わる負荷を分散させる役割を果たします。
ガラスクロスをシワなく密着させることで、防水層の耐久性を高めました。

5.ウレタンK材塗布(1回目)
ウレタンK材を使用して防水材を塗布しました。この現場では、昔ながらの金鏝(かなごて)を使用し、職人の手作業で均一に仕上げました。
K材は、防水層の下地として硬化性に優れ、次に塗布する防水材(サラセーヌA)の密着性を高める役割があります。金鏝を使うことで、平滑で美しい仕上がりを実現しました。

6.立ち上がり部分ウレタン塗布(2回目)
立ち上がり部分には、サラセーヌAを6インチローラーを使用して塗布しました。ウレタン防水の特性を最大限活かすため、1回目の塗布が完全に乾燥した後に2回目を施工しました。
立ち上がり部分は、屋上防水層の中でも特に重要な箇所であるため、漏水リスクを防ぐための慎重な施工が求められました。

7.平場ウレタン塗布(サラセーヌA)
平場部分にサラセーヌAを金鏝で塗布しました。職人の技術により、塗布面を均一に仕上げ、塗膜の厚みが適切であることを確認しました。
ウレタン塗膜防水の最大の利点は、屋上全体をシームレスに防水処理できる点であり、複雑な形状やジョイント部分にも対応可能です。この施工では、塗膜の硬化後に強度をテストし、次の工程に進みました。

8.遮熱トップコート塗布
ES工法の最終仕上げとして、遮熱塗料を9インチローラーで塗布しました。遮熱トップコートは、屋上の温度上昇を抑え、建物全体の省エネ効果を高める役割を持っています。
また、塗膜防水層を紫外線や風雨から守る保護層としても機能します。この工程では、ローラーの動きを均一にし、ムラのない仕上がりを実現しました。

9.ドレン・ストレーナー設置
改修用ドレンにストレーナー(ゴミ受け)を設置しました。このストレーナーは、裏面にバネのような金具があり、パイプ内でしっかりと固定される仕組みです。
ストレーナーの設置により、雨水の排水がスムーズに行われ、ゴミや落ち葉が排水管を詰まらせるのを防ぎます。ドレン部分の防水性能を確認し、問題がないことを確認しました。

10.屋上ES工法施工後の完成状態
ウレタン塗膜防水の全ての工程が完了しました。施工後の屋上は、防水層がシームレスに仕上がり、立ち上がりやジョイント部分も美しく補強されています。
また、遮熱トップコートの効果により、見た目も鮮やかで耐久性に優れた防水層が完成しました。最終的に、施主へ完成状態を説明し、メンテナンス方法や注意点についても共有しました。

屋上防水工事の事例を別の動画からご紹介いたします。合わせてご覧いただけますと幸いです。
あとがき
後編では、プライマーの塗布からウレタン塗膜防水の施工、遮熱トップ塗料の仕上げ、さらにはドレンやストレーナーの設置まで、防水工事の完成に向けた全工程を解説しました。
これらの仕上げ工程は、防水層全体の耐久性と性能を決定づけるものであり、熟練した職人技と最新技術の融合によって、長期間にわたり雨漏りから建物を守る堅牢な防水層が完成しました。
今回の工事で採用したウレタン塗膜防水は、複雑な屋上形状にも柔軟に対応できる特長を持つため、多くの建物で採用されています。
また、遮熱トップ塗料の活用により、省エネ性能を高めることができる点も注目に値します。本記事が、これから防水工事を検討されている方や、専門技術に興味のある方にとって、少しでも参考になれば幸いです。