築20年の屋上を守る!川崎市で行ったウレタン防水工事の全貌【前編】

防水工事は建物の耐久性や居住環境を維持するために欠かせない工程です。特に屋上部分は雨水が直接降り注ぐため、劣化が進みやすい箇所です。本記事では、川崎市にある築20年のALC構造(軽量気泡コンクリート造)の4階建て建物を対象に、屋上の既存ゴムシート防水層をウレタン塗膜防水で改修する施工例を写真とともに解説します。
本工事では、既存防水層の補強を行いながら高強度なウレタン防水を施す「ES工法(現GM工法)」を採用し、最後に遮熱トップを施すことで、遮熱性能を付与した仕上げとなります。
専門的な技術解説を交えながら、各工程を具体的に説明することで、屋上防水工事の全体像を理解していただきたいと思います。
本記事は前編と後編に分けてお届けします。今回は前編として、調査から中盤工程までを詳細に解説します。
1. 現地調査:下地状況の確認
防水工事の第一歩は現地調査です。今回の施工対象である屋上の既存ゴムシート防水層は、20年の経年劣化が見られましたが、下地自体は比較的良好な状態でした。
ALC構造の建物は軽量である反面、防水層が損傷すると水が浸透しやすいため、念入りな調査が必要です。
調査では、既存防水層の接着状況、ジョイント部(接合部)の耐久性、下地コンクリートの含水率を測定しました。
また、立上り部分や入隅(壁と床の接合部分)の状態、笠木(屋上の縁にある押さえ金具)の取り付け状況も確認しました。この情報に基づき、既存防水層の部分補強を行う方針が決定されました。

2. ケレン清掃:下地の調整
調査の後は、下地を整えるための「ケレン清掃」を行いました。ケレン作業とは、既存防水層の表面に付着した汚れや劣化部分を削り落とす工程です。今回は屋上のみの施工であるため、飛散災害を防ぐ目的で乾式清掃を選択しました。乾式清掃では、グラインダーやスクレーパーを使用して劣化部分を除去し、清掃後の粉塵も確実に取り除きます。
この工程はプライマー(接着剤)の密着性を高めるために重要です。下地がしっかり整えられていないと、後工程で塗布するウレタン防水層が剥離する可能性があります。そのため、特に丁寧に作業を行いました。

3.部分プライマー塗布
下地調整が終わった後、施工箇所にプライマーを塗布しました。プライマーはウレタン防水層の密着性を高めるために使用されます。この段階では、既存ゴムシートのジョイント部や、特に劣化が進んでいる箇所を重点的に補強しました。プライマーの乾燥時間を考慮し、先行で必要箇所に塗布を行い、効率的な施工を心がけました。
また、今回の施工では補強を優先し、全体プライマー塗布を後回しにする工夫を取り入れています。これにより、補強作業が完了した後に均一な塗布が可能となり、耐久性の向上が期待できます。

4.入隅シーリング:破断防止の補強
入隅部分(壁と床が交差する角)にポリウレタン系のシーリング材を施工しました。これは、立上りと平場の動きの差による防水層の破断を防止する目的があります。入隅部分は特に負荷がかかりやすく、防水層が損傷しやすい箇所であるため、慎重な施工が求められます。
シーリングは「捨て打ち」と呼ばれる方法で行い、平場と立上りの境界を滑らかに仕上げました。さらに、これが後のウレタン塗膜防水層の密着性や防水性を向上させる効果もあります。

5.全面プライマー塗布
補強作業が完了した後、屋上全体にプライマーを均一に塗布しました。プライマー塗布はウレタン塗膜の密着性を左右するため、施工にムラがないようローラーや刷毛を使用して丁寧に行いました。この段階で、乾燥時間を考慮し、効率的な作業を進めました。
また、既存ゴムシートのジョイント補強部分にも改めてプライマーを塗布することで、防水層全体の耐久性が向上しました。この「ひと手間」をかけた工程が、長期にわたる防水性能の維持につながります。

6.笠木撤去:立上り部の段取り
屋上の縁に取り付けられている笠木を撤去しました。今回は屋上のみの施工であり、仮置きスペースの確保が難しかったため、先に立上り部分を仕上げる段取りとしました。笠木の撤去は、施工箇所の状態を確認しながら慎重に行い、後の復旧工程を見越して番号を付けて管理しました。
この作業では、笠木下の防水層の状態も確認し、劣化や不具合がないかを再チェックしました。笠木撤去は、立上り部のウレタン塗布を円滑に進めるための準備工程として重要です。

ウレタン防水と伸縮目地シールの施工の様子をご紹介いたします。
防水工事の下地は重要な役割を担っています。下地作りの重要性の観点から、こちらの動画も合わせてご覧いただけますと幸いです。
あとがき
ここまでで、防水工事の調査から中盤工程までを丁寧に解説しました。特に、下地の調整や補強、入隅シーリングなどは、防水層を施工するうえで重要な基礎となる作業であり、最終的な防水層の耐久性や効果に大きな影響を与えます。これらの作業を適切に行うことで、防水層の密着性や耐久性が向上し、雨水や湿気から建物を長期間保護することが可能になります。また、これまでに解説した工程を一つひとつ丁寧に行うことが、ウレタン防水工事全体の品質を左右するため、職人としても特に慎重さが求められる部分といえるでしょう。
後編では、ウレタン塗膜防水の最大の特徴である「塗布工程」から、トップコートの最終仕上げまで、さらに詳しく解説していきます。塗布工程では、ウレタン樹脂の均一な厚みを確保するためのコツや、使用するローラーやヘラの使い分けについても触れ、施工精度を高めるための具体的なノウハウをお伝えする予定です。また、最終仕上げにあたるトップコート塗布は、美観を整えるだけでなく、防水層そのものの耐久性や紫外線への抵抗力を高める大切な作業ですので、この部分も見逃せません。
次回の記事では、実際の施工現場で役立つポイントや注意点を交えながら、ウレタン防水の仕上げ作業のプロセスをしっかり解説していきます。
これまでの基礎工程がどのように最終結果に影響を及ぼすのか、そして完成した防水層が建物にどのような恩恵をもたらすのかを具体的に掘り下げていきます。建物を長期的に守るために必要な知識をしっかりとお届けしますので、次回もぜひご覧ください!