横浜市・RC3階建て築11年の屋上防水工事~アスファルト防水からトーチ工法への施工ブログ【第一回】

今回のブログでは、横浜市にある築11年のRC(鉄筋コンクリート)構造、3階建ての建物の屋上防水工事の流れを解説します。この建物は、アスファルト防水が施された既存防水層を持つため、現状をしっかりと把握したうえでの工程管理が必要となります。

最終的にはトーチ工法による防水層の再構築を行い、長期的な防水性能を確保します。この記事では、工事の工程を丁寧に説明し、建物の環境や下地の状況にも触れながら、施工の専門技術をご紹介します。

目次

1. 現場調査 – 寸法測定と下地の状況確認

防水工事の第一歩は、現地調査です。今回の施工箇所は屋上で、施工班が現地に赴き、寸法や下地の状況を綿密に確認しました。建物が築11年であるため、既存のアスファルト防水層にはひび割れや剥がれが生じている箇所が見られました。

この段階で建物の構造(RC造)や周辺環境(風向きや日照条件など)を考慮しながら、防水層の適切な改修方法を検討します。また、屋上には脱気筒や設備架台などの付帯設備があるため、それらの撤去と再設置も計画に盛り込む必要があります。初期調査が正確でなければ、後の工程でトラブルが発生する恐れがあるため、非常に重要なプロセスです。

ここでの調査結果が、後の工程設計に直結します。また、既存の架台や笠木(屋上端部の縁部分)の固定状況、排水経路の勾配なども確認します。寸法や部材位置には番号を振り、後の工程で元の位置に戻せるよう管理します。

2. 脱気筒・架台の数確認と臭気等の点検

屋上には臭気筒や脱気筒といった設備が設置されています。これらは建物の通気や排気に欠かせないため、正確な位置や数を記録し、施工後に同じ位置に戻す必要があります。特に横浜市のような都市部では、排気や通気を妨げることは避けなければならないため、既存設備の状態も慎重に確認します。

また、架台(設備を支える土台)についても数や固定状態を調査し、撤去・再設置計画を立てます。このプロセスでは、設備を一時的に取り外すための段取りが重要となり、設備の傷みや変形を避けるため、丁寧な作業が求められます。

3. 洗浄 – 接着面を清潔にする準備

防水工事では、接着面の清潔さが仕上がりに大きく影響します。そのため、既存のアスファルト防水層や下地の表面を高圧洗浄機を用いて徹底的に洗浄しました。

洗浄では、泥や埃だけでなく、既存の防水層に付着した油分やカビも除去することが目的です。これにより、後のプライマーや防水材の密着性を高めることができます。屋上という施工環境では排水口にゴミが詰まらないよう、作業中に水が溜まらない排水計画を立てて行います。

4. 押さえ金物・笠木・コーピングの撤去

屋上防水工事では、まず既存の押さえ金物や笠木(立上り部の縁を覆う部材)を撤去します。この建物ではコの字型の笠木が設置されており、固定具を取り外しながら、部材を丁寧に番号管理して撤去を行いました。

後で同じ場所に戻すため、取り外した部材には番号を振り、保管場所を指定しておくことが重要です。この作業では、撤去時に金属部分を傷つけたり、周囲のコンクリートを破損しないよう慎重さが求められます。また、この工程で建物の構造部の劣化具合を確認し、補修が必要な箇所がないかもチェックしました。

5. 立上り防水の撤去

次に、屋上の立上り部分に施されている防水層を撤去します。ただし、今回の施工では総撤去を行わず、一部既存の防水層を活用する「単層張り工法」を採用しました。この工法は、費用を抑えるだけでなく、建物の防水機能を維持したまま部分的に改修を行えるメリットがあります。

立上り部分は、スクレーパーやカッターを使用して丁寧に古い防水層を剥がし、下地を整えます。この工程では、既存の防水層にダメージを与えないよう注意深く作業を進めます。

6. 架台撤去と周辺処理

屋上の設備を支えるアルミ製の架台を撤去し、周辺部をスクレーパーで清掃しました。この際、立上り部分の防水層を一部残しつつ、突起物や余分な素材を取り除く必要があります。

突起物が残ると新しい防水層を貼る際に不具合が生じるため、下地処理を念入りに行いました。また、撤去時には既存の設備を損傷させないよう配慮し、作業の効率と品質を両立させることを意識します。

7. ケレン作業:防水層の密着性向上のための下地処理

次に、撤去後の下地を「ケレン」と呼ばれる手作業で処理します。これは、サンダーやワイヤーブラシを使用して、表面の細かい凹凸や汚れを除去し、新しい防水材の密着性を向上させる工程です。

この作業を怠ると防水層が浮き上がる原因となるため、職人の丁寧な作業が求められます。

専門的視点で見る「調査~既存防水層撤去」までの重要性

今回のブログで取り上げた「調査~既存防水層撤去」までの工程は、防水工事全体の基盤を整える、極めて重要なプロセスです。特に、建物の構造(RC造)や既存防水層(アスファルト防水)の状態、周辺環境(横浜市の特有の気候条件)を考慮した初期段階の調査は、施工計画の精度を決定付ける基盤となります。この調査が不十分であれば、工事後に雨漏りや防水層の剥離といった不具合が生じるリスクが高まります。

また、防水層の撤去や下地処理においては、施工精度が後工程の品質を大きく左右します。例えば、ケレン作業では、下地表面の微細な汚れや凹凸を取り除くことで、新しい防水層が確実に密着する状態を作り出します。この作業を怠ると、防水層が施工後に浮き上がり、結果的に防水性能を損なう可能性があります。

さらに、設備の撤去や再設置(臭気筒・脱気筒・架台など)の計画は、防水工事特有の繊細な配慮が必要な部分です。これらの設備は単なる付帯物ではなく、建物全体の通気や排水といった機能に直結する重要な要素です。適切に取り外し、後で正確に復旧することは、防水工事の成功に欠かせない条件と言えます。

特に今回の工事では「単層張り工法」を採用しています。この工法は既存防水層を活かしつつ新規防水層を重ねる手法で、コストを抑えながら必要十分な防水性能を確保できますが、それだけに撤去の精度や下地処理の完成度が、全体の仕上がりに大きく影響します。

総じて、今回解説した工程は、表面的には目立たない「縁の下の力持ち」のような役割を果たしており、防水工事全体の完成度や耐久性を左右する非常に重要なステップです。次回は、この基盤をもとに「プライマー塗布~新規ドレン設置」の作業工程を具体的に解説していきます。施工における最初の仕上げ段階ともいえる工程で、防水性能を確実なものにするための技術が詰まった内容となりますので、どうぞお楽しみに!

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