老築マンションの雨漏りの応急処置工事 できることとできないこと

今回のブログは、築40年のマンションの雨漏り部分工事の続きです。
前に改修をしたので、二重防水を施してあるパラペットタイプの屋根だったのですが、前回は雨漏りの原因として、二回目の防水工事をした業者が取り付けた、改修ドレンホースの短さが原因で水の逆流が起こっていると予測し、改修ドレンホースの取り換え工事をしました。

ところが、改修ドレンホースの取り替えをしても、雨漏りは止まらなかったのです。
今回は、改修ドレンホースの取り替え工事後に、さらにどんな雨漏り対応の工事をしたかについてお話しいたします。
前回のブログ

改修ドレンホースの取り替え工事と雨漏り
こちらのマンションは、特殊な形をした建物で、デザイン優先で建てられていました。
デザイン中心のマンションの場合、普通の造りのマンションよりも不具合がおこりやすくなります。

今回ご依頼頂いたマンションも、デザイン性が高いゆえに不具合がおこっていました。
しかも長いことメンテナンスがされていなかったことで、その不具合に拍車がかかっています。
外観を見て回っただけでも、さまざまなトラブルが併発しているのが分かりました。
本来であれば、そろそろ大規模改修時期を迎えるマンションです。
しかし、理事会の決定がまだ先のため、今は大規模改修工事ができないとのこと。
そこで今回は改修工事ではなく、とりあえず雨漏りを止めるための工事をすることとなったのです。
そんな経緯で工事をお引き受けしたのが、前回のブログで紹介した雨漏り工事でした。
大規模改修工事動画
前回は、雨漏りの理由の一つ目として考えられた「排水溝の詰まりの解消とドレンチューブの取り換え」を行ったのですが、雨漏りは止まらず…。
そこで、今回はスコープをいれて配管の中を確認することに。

ちなみに前回の改修ドレンホース交換工事は、うまくいっていました。
短い改修ドレンホースを外し、ホースの中のつまりも解消したことで、配管に水が流れるようになったのです。

前回の業者が入れた改修ドレンホースはとても短く…ホースが鉄管パイプのL字部分まで届いていないものだったのですが、今回はしっかりと配管のL字部分を通る長いホースを入れていたので、水も下に向けて落ちるようになっています。
さらにホースの中のつまりも確認しましたが、水の流れを止めるものはありません。
それにもかかわらず、工事後にまた排水口への逆流がおこってしまったのです。
排水口の入口に問題がないとすると、配管の途中に問題があることが考えられます。
そこで、今回はスコープを入れてみました。
ところが、スコープを入れてみたものの、やはり塞がっているところはありません。

鉄管なので「中に錆があるかも?」と予想していましたが、錆も少なく、配管をふさいでいるところはなかったのです。

そうなると次に考えられるのは、配管内の圧力。
鉄管で空気が温められるなど、なんらかの力が働き、配管内にある空気が水をせき止めてしまうことがあるのです。
そこで、配管に穴をあけることにしました。

配管の圧力、水を抜くための穴開け
雨漏り工事の一環で、鉄管に穴をあけるための工事をします。
しかし、ここでひとつ問題が…。
今回は応急処置的な簡易工事のため、足場がないのです。
そのため、配管に穴をあける場所が限られてしまうことに。

1か所目は、鉄管そばの2階の窓です。窓から身を乗り出す形で、配管に穴をあけることができます。
鉄管がとても固いので、ドリルの歯が何本もダメになりましたが、なんとか穴をあけることに成功しました。
次は1階の部分です。ここもドリルで小さな穴をあけます。
両方とも、やはり配管の中につまりはありませんでした。

この穴ですが、塞ぐことはせずこのままの状態にします。
雨が降った際も、あけた穴から水が漏れますが、水を流しやすくするための空気穴ですので、あえてそのままに。
お客様にも、穴をあけたままのことや、穴による効果などについてご説明いたしました。
床防水面の補修工事
配管の穴あけ工事以外にも、屋上の床部分も工事しました。
なぜなら、排水口近くの防水層がはがれていたからです。

前回もお話しましたが、少しこの床の構造についてお話いたします。
こちらの屋上の床は、新築時に防水工事+保護モルタルを。そしてその後防水の不具合があり、2度目の防水工事+改修ドレンホース取り付けが行われていました。

ところが、改修ドレンホースをつけても水の逆流が起こり、逆流した水が排水口からあふれ、それがちょうど防水層の切り付け部分に入り込んでしまったのです。
場所によっては、新築時の防水機能が生きていたりして水の浸入を防いでいるところもありましたが、保護モルタルの下や2回目の防水層の下には水が回り、まるで小川の水が流れるように勢いよく水が流れている状態に。
そこで、いったん排水口周りの防水層をはがし、さらにその下にある防水層の伸縮目地上の床材が傷んでいたのではがしました。

この写真の真ん中にあるホースのようなものはスポンジで、伸縮目地となっています。
ここを見ることで、新築時の防水層にどこまで水が浸入しているのか、部分的に確認が可能です。

状態を確認して、切り付け部の止水をするために、急結セメントを塗りこみました。

その上に下地処理し、施工してウレタン防水を。

さらにその上には、トップコートを施します。

簡易工事として受けた工事でしたので、本来はここまで工事範囲が広がらないはずでした。
しかし、想像以上の範囲で水が入り込み、床面に浮きがあったことで、ここまで広く工事をすることになったのです。

最後に、お客様からのご要望で、前回の防水層と今回の防水層の間に水抜きをしました。
これで、できる手立てはすべて施し工事は終了です。
関連動画

ここまで、雨漏りを止めるためのドレンチューブ取り換え後に行ったこと、そして追加の雨漏り工事についてご説明しました。
床面の補修工事、そして配管に通したスコープ検査、配管へのドリルでの穴開け。
今回、これらをすべて行った結果、雨漏りはどうなったのか……。
結果から言うと、今のところ止まったようです。
今回の雨漏りは原因が不明ですが、これまでの現場経験から応急処置ができました。
しかし、まだ油断はできません。
今回のブログでは、工事がうまくいっても油断できない理由と、この雨漏り工事からわかる業者選びの大切さについてお話ししたいと思います。
今のところ止まった不具合
2度目の工事を終えて、その後お客様から雨漏りのご連絡はなくなりました。
ですので、現在は雨漏りが止まっているのだと思います。
しかしこの雨漏り工事は応急処置なので、予断を許しません。
本来であればこのような応急処置ではなく、雨漏りを補修するためには、足場をかけて配管を取り換える大工事の必要があります。
しかしそれができないため、このような応急処置工事になりました。
ただ、応急処置とはいえいいかげんな工事をしたわけではありません。
少しでも雨漏りが止まって、大規模改修まで持つように知恵をしぼり工夫をしました。
応急処置という範囲を逸脱しないために、材料なども在庫を使って安くできるように収め、最小限のダメージになるように…。
塗装職人がこれまで培ってきた技術で、雨漏りのあらゆる可能性を考えておこなった工事ですので、他の業者も同じものはなかなか思いつかないでしょう。
たかが雨漏り工事だとしても、どの業者、どの職人に頼むかによって結果は大きく変わります。
なぜならどの職人も、様々な流派で技術を習得してきているからです。
技術をならった人や会社によって、同じ雨漏り補修工事でも対応方法は大きく違います。
だからこそ、業者選びは本当に難しく、重要なのです。
工事内容は業者によって千差万別
前章で、職人や業者によって同じ工事でもやり方が違うことから、業者選びが重要なことをお話しいたしました。
それについて、もう少し別の角度から詳しくお話したいと思います。
先日、他社3社で見積もりを取られている方から電話がありました。
その方は、他社で見積もりを取っていろいろ出そろったけど、このやり方で合っているのかちょっと教えてほしいと…。
その方にしてみれば、セカンドオピニオンに意見を求めているくらいの感覚だったのでしょう。電話口で「あーそれなら大丈夫じゃないですか?」といった感じの軽い返事が来ると思ったのかもしれません。
しかし、お答えできませんでした。
先ほどもお話しましたように、それぞれの会社の職人によって「流派」があり、雨漏りを止める工事としても、一つとして同じ工事はありません。
ましてや、工事を依頼する会社にエントリーもされていない弊社が口をはさめば、ややこしくなることは目に見えています。
それゆえに、軽くお答えすることはできないのです。
塗装職人にご依頼をくださったお客様であれば、心をこめてご説明もアドバイスができます。
お客様のためだからこそ、心血を注いで見積もりを作り、雨漏りや不具合をなんとか収めようと、これまでの経験からさまざまな工法を駆使するのです。
この電話を下さった方は、3社に見積もりをとりながら、どこか相手の業者を信じられなかったのかもしれません。
これは本当に残念なことではありますが、業者選びの際にはきちんと質問のできる相手を選ぶべきです。
真面目な工事をする業者であれば、お客様の真剣な質問に必ず答えます。
そうした対応こそ、相見積もりで判断すべきポイントなのです。
塗装業者がすべてを修復できるわけではないということ
こうした補修工事のブログを上げていると、ものすごく悪い状態になってから、弊社に駆け込まれてくる方がいらっしゃいます。
せっかく頼って頂いたので、できる限り対応したいと思っていますが、やはりできる工事とできない工事があります。

ついこの間も、最初に相見積もりを取っていたお客様が、安いからと他社を選び、弊社では工事をしなかったことがありました。
ところが、工事をしたものの頼んだ業者のやり方に不安を覚え「工事の途中だけど、やっぱり塗装職人さんに頼みたい」と気持ちが変わったとご連絡が。
しかしお引き受けができず、お断りをしました。
別に、相見積もりの末に他社を選んだから怒ってお断りした…というわけではありません。
お受けすることができなかったのです。
他社が工事をしたことで、前回見積もり時に前提としていた条件がすべて変わってしまっていました。そして何よりも、前回の状態であれば打つ手がありましたが、他社が別の塗料を塗るなどしてしまったことで、カバーする手立てがなくなってしまったのです。
適切な時に、適切な処置をするからこそ、結果を出すことができます。
ご連絡をくださったお客様は大変驚いていらっしゃいましたが、弊社としても本当に残念な結果でした。
再塗装の時期やタイミングというのは、必ず適した時期や状態があるのです。
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再塗装すべき時期に塗装を行わず先延ばしにしていれば、家の状態は悪くなり100万円で補修塗装ができていたものが、200万になり、500万になり。最後はまったく補修塗装ができない…という結果になることも。
また下地などの元施工が悪ければ、そこから状態が100%良くなることはありません。
だからこそ、本当に技術や塗装業者の質で選んでください。
金額ではなく、本当にどんな工事をしたいのか考えることで、おのずと答えは決まると思います。
お客様が相見積もりでするべきことは、費用比べではなく技術や職人の質を比べることです。
この雨漏り工事の記事を通して、ご理解いただければ幸いです。