築36年3階建てマンション改修工事 廊下階段への長尺シート張り込み
港北区の3階建てマンション補修工事(補修、塗装)のブログは、今回で完結です。補修工事・塗装工事すべてが終わり、完工検査と足場撤去も無事に完了しました。最後に残ったのは、階段と廊下への長尺シート張り込み工事です。ここでは、その工程を詳しくご紹介します。
階段部分の長尺シート張り込み
塗装と足場撤去が終わった後、最後に残工事として長尺シートの張り込みをします。この工事は、雨天時はできません。水がシートの裏に入ってしまうからです。水の侵入の心配が無い、曇りや晴れの日に行います。
今回使用した長尺シートは、廊下はタキストロン、階段はタキステップです。耐久性・防滑性に優れています。
金具の撤去と下地処理
さっそく、張り込むための準備をします。
最初は金具類の撤去です。
階段の段鼻(階段の踏み板の先端部分。滑り止めなどをつける部分)には、滑り止めのアルミ金具が取り付けられており、これを丁寧に外します。段鼻に取り付けられる滑り止めは、金具以外にもタイル張りや滑り止めテープの場合がありますが、いずれもシート張り前に下地処理が必要です。


金具を外した後、高圧洗浄で苔やゴミを除去し、ブロワーでホコリを飛ばします。こうした丁寧な下地処理が、接着の良さと仕上がりの美しさを左右します。今回の床面はタイルでないため、目荒らしはしません。
入隅のシーリングと線防水
下地準備ができたら、長尺シートを張り込む階段の両脇と壁の立ち上がり部分に塗膜防水を行います。
防水材を塗布する前に、廊下と階段の入隅部にウレタンシーリング材を注入します。シール材が乾くまでは靴に付着するので、注意喚起ステッカーを張って安全を確保しています。
翌日に防水材のサラセーヌを塗布します。


中塗り、上塗りと2回塗装しました。
最後にトップコートを塗布して完成です(色はグレー・ライトグレー・緑などが一般的)。防水材のウレタンは、壁用と床用で粘度が異なるものを使い分けますが、強度に差はありません。立ち上がり部分に塗布するウレタンは、液だれしないように粘度が高くなります。


この長尺シートの両脇を防水することを、線防水といい、線防水することにより、床面の強度が向上し、施工後に保証も付けることができます。
長尺シート工事の見積もりで金額が大きく違うのは、主にこの線防水の有無が理由です。
線防水なしでも長尺シートの施工自体は可能ですが、保証が付かなくなるため、弊社では基本的に線防水ありで対応しています。
これで、長尺シートを張り込むための階段下準備は完了です。
タキステップの張り込み
下地調整と接着剤の塗布
シートを張り込むために、下地調整からスタートします。
階段に水溜まりができやすい箇所があったので、赤い印でマーキングし、右側の排水溝に向かって自然な勾配が出るようセメントで不陸調整しました。勾配と言っても、歩行時に違和感が出ない程度の緩やかな角度です。
セメント乾燥中は、通行禁止テープを張って安全を確保しています。
乾燥後、タキステップの張り込みに入ります。プライマーではなく専用のボンドを使い、オープンタイム(20〜30分)を置いてからシートの張り込みを行います。


タキステップの張り込みと仕上げ
階段は3段ずつ進め、居住者が通る場合は乾燥中のボンドの上にシートを仮置きして対応します。手の届く範囲で少しずつ工事を進めることで、居住者に負担をかけずに施工することが可能です。
タキステップは、段鼻部分が色違いになっており、滑り止めがついています。今回は、向かって右側が排水溝のため、滑り止めが重ならないように仕上げました。
これで階段部分は完成です。


廊下の長尺シート張り込み
次に、廊下の長尺シートを張り込みます。
今回廊下用の長尺シートには、タキストロンRAを使用しました。床面に模様が入っており美しい仕上がりになるだけでなく、防滑性に優れています。
マンションの床面は、元々床用塗装がされているため、その上に直接長尺シートを張ります。
そのため、床面には線防水・掃除以外の下準備はありません。
廊下には、2枚目の写真の小さなクラックがありましたが、長尺シートで十分にカバーできます。

線防水・張り込み・転圧
こちらも階段と同様に、長尺シートの両脇を線防水しました。ドレン周りも同様に塗膜防水し、鉄部は鉄部用塗料で2回塗装しています。シートの張り込み前には仮敷きをして、ズレをチェックします。
スタート時のわずか1cmのズレが、10m先で10cmになるため、慎重な調整が必要です。長尺シートをカットしたら、タキボンドで張り付けをします。廊下は、玄関前という通行の多い場所なので、半面ずつ交互に張りながら工事を進めます。
張り終えたら転圧です。階段は小型ローラーを使用しましたが、廊下は大型ローラーで規定の圧力をかけます。この圧力とは、手で押す力ではなくローラーの重さです。既定の重さの転圧ローラーを使うことで、均等に床と長尺シートを圧着させることができます。


継ぎ目の熱溶着と端末シール処理
転圧後に、長尺シートのつなぎ目を熱溶着します。ライスターと呼ばれる溶接機で溶接棒を熱して溶かし、シートの隙間を埋める工事です。1枚目の写真に写っている工具がライスターです。先端にゴムの長い紐のようなものがあるのですが、これを溶接棒と言います。溶接棒を溶かしながら段差なく長尺シートとシートの隙間を埋める、技術のいる工事です。ライスターには先端にダイヤルがあり、温度を変えることが可能です。溶着させる温度は、季節や温度によって違うため、その日の状況をみながら温度を調節します。
また、長尺シートの端末部は、タキストロン専用の端末シールで塞ぎます。専用のシール以外、シール材は使えません。


長尺シートの施工では、つなぎ目の処理、端末の専用シール処理が非常に重要です。処理が甘いと水が入り込み、せっかくの長尺シートの耐久性が台無しになります。こうした処理の工程なども、見積りで金額に差が出る点です。長尺シートの施工費用が他社よりも安く見積もられている場合には、注意してください。
線防水・シートのつなぎ目の熱溶着・専用シールでの端末処理など、材料に合った工程をきちんと行うことで、強度が格段に上がり、長尺シートは長持ちします。

1ヶ月半で完了した3階建て12戸マンション改修工事
こちらのマンションでは、タイル壁補修、外壁クラック補修、塗装、防水、長尺シート張り込みなどの工事を行いました。

工事期間は1ヶ月半。足場設置で駐車場の出入り口が狭くなるなどありましたが、居住者の皆様のご協力(ベランダの物移動など)のおかげでトラブルなく進められました。掲示板やステッカーでの事前周知も効果を発揮したと思います。マンションの改修塗装をお考えの方は、ぜひこの事例を参考にしてください。
居住者がいる状態でも、細やかな配慮と職人技でスムーズに工事が可能です。塗装職人では、現場経験と技術で、しっかりお客様のニーズにお答えします。
