横浜市中区で行った屋上防水工事の事例紹介

横浜市中区にある築18年の2階建て施設にて、屋上の防水改修工事を実施しました。この建物では防水層の経年劣化に加えて、集中豪雨の際に屋上が水たまりになるという排水上の問題がありました。

さらに、火気の使用ができない施設という特性もあり、一般的な熱工法やトーチ工法は選択肢から外さざるを得ませんでした。

そうした条件を踏まえ、今回は火を使わない冷工法を採用し、機能性・安全性・耐久性のすべてを満たす防水改修を実現させていただきました。

目次

火気を使えない施設で安全に施工できる冷工法

通常のアスファルト防水は、加熱したアスファルトやバーナーを使用するため、火気厳禁の施設では施工が困難です。今回の建物も、安全面から火を使う作業は行えないという制約がありました。そこで弊社では、冷工法と呼ばれる火気を一切使用しない防水工法を選択しました。

冷工法では、常温で接着する自着シートや特殊な下地処理剤を使用することで、熱や火を使わずに高性能な防水層を形成できます。煙や臭いの発生も少なく、建物利用者や近隣への配慮が求められる現場にも非常に適しています。

ドレン不足による水たまりの課題を現場対応で解決

この屋上では、排水口であるドレンの数が少なく、雨が集中的に降った際には排水が追いつかず、屋上に水が溜まってしまう状態でした。施主様からは屋上勾配を変えてほしいというご相談もありましたが、建物の構造上、勾配の大きな修正は現実的ではありませんでした。

そこで、ドレンの周囲を斫って一段低くする座彫り加工を行い、そこに改修用ドレンを新設しました。勾配を大きく変えることなく、雨水の流れをドレンに誘導する構造をつくることで、排水性能を改善しました。水たまりを減らすことにより、防水層への負担を軽減し、漏水リスクも下げることができます。

劣化した立上り部のみを撤去して効率よく改修

既存の防水層はアスファルト防水で、平場は比較的健全な状態を保っていましたが、立上り部分に劣化が見られたため、必要な範囲だけを部分的に撤去する方法を取りました。

押さえ金物をバールで取り外し、既存のシートを手作業と電動工具で撤去。さらに、残っていたアスファルトのコンパウンドはスクレーパーを用いて丁寧に取り除きました。

このような選択的な撤去により、無駄な作業やコストを削減しつつ、必要な部分にはしっかりと手を加えることで、防水性能を維持する工事が可能になります。

ケレンと清掃で新しい防水層との密着性を確保

防水材の施工において、下地の状態は仕上がりと耐久性を左右する重要な要素です。既存防水層の撤去後は、残留物や汚れを取り除くためにケレン作業を行い、その後、手作業で丁寧に清掃を行いました。粉塵やゴミの飛散にも配慮し、周囲の環境にも最大限の注意を払っています。

下地処理が不十分なまま防水材を施工してしまうと、数年以内に剥がれや浮きが発生するリスクがあるため、こうした基本工程こそが最も重要であると考えています。

雨天リスクを考慮した仮防水処理で現場を保護

撤去した立上り部の端部には、アスファルト系のシール材を充填して仮押さえを行い、その後、へらで丁寧に仕上げて仮の防水層を形成しました。

これにより、次の工程に進むまでの間に万が一雨が降っても、構造体内部に水が入り込むことを防ぐことができます。現場を一時的にでもきちんと守ることで、安心して次の工程に進める環境を確保しています。

冷工法での本施工と補強処理の流れ

防水層の施工では、まずアスファルトプライマーをローラーで塗布し、下地との密着性を高めました。続いて、角部や入隅・出隅といった動きが出やすい箇所には、自着性のFXシートを裁断して増張りし、転圧ローラーで気泡を残さずしっかりと圧着しました。

そして、既存防水層との一体化を図るためにアスファルトリベースを塗布。これにより、長期間にわたって剥がれにくい、安定した防水層を形成することができました。

高耐久・遮熱タイプの防水材

施工の防水材は、耐久性と遮熱性能に優れた「ガムクール」という材料を採用しました。

この材料は太陽光を反射しやすいため、夏場の屋上表面温度の上昇を抑える効果があります。室内の温度環境にも好影響を与えるだけでなく、防水層そのものの劣化を遅らせることにもつながります。

見た目の美しさだけでなく、建物の長寿命化や省エネにも貢献する仕上げ材です。

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火気制限のある建物でも高品質な防水工事は可能です

今回の横浜市中区での工事では、火を使えないという制限の中でも、冷工法を採用することで安全性と防水性能を両立しました。ドレンの数が少ないという構造的な問題も、現場での工夫によって改善を図り、より快適な屋上環境を実現しています。

同様の悩みを持つ建物は少なくありません。火気の使用が難しい施設、排水に不安がある屋上、防水層の耐用年数を迎えている建物などにおいても、ご安心ください。まずは現地調査からお気軽にご相談ください。建物に最も適した、無理のない改修計画をご提案いたします。

そして、次回のブログでは、トップコートの塗布、脱気筒の設置、そして工事完成までの様子をご紹介します。最終仕上げとなる工程のポイントや、仕上がりの美観・機能性についても詳しく解説いたしますのでご覧ください。

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