通気緩衝工法

通気緩衝シート(絶縁シート)を貼る様子

通気緩衝工法の概要

ウレタン防水の通気緩衝工法は、ウレタンを塗布する前段階の時点で通気緩衝シート(絶縁シート)を貼りその上にウレタンを塗布していく防水工法です。

ウレタン防水は塗膜防水のため、例えばひび割れなど劣化した下地に液状状態のウレタンを塗布しても均一な厚みを得ることが出来ませんが、通気緩衝シートを貼ることによってウレタンの厚みが確保ができます。

下地とウレタンが直接接触していないため、下地からの動きを吸収しウレタン自体にひび割れたり破損したりするのを防ぐことができます。

また通気緩衝シート自体が通気層にもなっているため、下地から発生する蒸気を脱気筒から排出させることでウレタンの膨れや破断も防止します。

費用感

通気緩衝工法はウレタン防水材を流す前に屋上全面に通気緩衝シートを敷き詰めるため、その分だけ費用が掛かります。高強度と高身長の種類の防水材の組み合わせによって、より耐久性持たせたタフガイという仕様など、ウレタン防水材の種類の使い分けによっても費用は変わります。

通気緩衝シートの上に一層目のウレタンを塗布
通気緩衝シート貼り付け後の一層目のウレタンを塗布

通気緩衝施工種類

同じ通気緩衝工法でもシートの種類などの違いやウレタン防水材料の違いによって工法の種類があります。横浜防水職人では、「自着層式」と「非自着層式」の2種類の通気緩衝シートを下地の劣化状況や予算に応じて使い分けています。

またメーカーも田島ルーフィングやダイフレックス、サラセーヌなどのブランドがありますが横浜防水職人では主にAGCポリーマーのサラセーヌやシーカージャパンのダイフレックスを使い分けております。

自着層式

未開封の包装されたサラセーヌQVシート
サラセーヌの通気緩衝QVシート
未開封のダイフレックス通気緩衝自着シート
ダイフレックスの通気緩衝自着シート

シートの裏側がアスファルト系粘着素材になっており、既存防水層などの下地の上からそのまま貼ることができます。

自着層式というのは、ボンドなどの接着材は使用せずシートにはじめから備わっている接着剤で貼り付けることを言います。その代わり転圧ローラーを用いてシートと下地を強く圧着させる必要があります。

アスファルト系粘着素材になっているシートの裏側

こちらは自着層式タイプのサラセーヌのQVシート。粘着層になっている裏面はストライプの模様になっていて、模様の凸部は粘着層で凹部には非粘着層という構造のため凹部は下地から上がってきた湿気の通り道となり設置された脱気筒を通して排出して膨れなどを防止します。

下地調整した後にシートを貼る作業
下地調整をした下地に貼っていきます。
QVシートを敷き詰めてテープで端末処理
立ち上がり手前までQVシートを敷き詰めテープで端末処理をします。
QVシートの繋ぎ目を専用のジョイントテープで継ぐ
QVシート同士の継ぎ目も専用のジョイントテープで継いで行きます。
ジョイントテープの継ぎ目にウレタン防水材などを塗布する
継ぎ目には立ち上がり用のウレタン防水材などを塗布していきます。
脱気筒の取り付け作業
脱気筒の取付。
通気緩衝シートの上にウレタンを塗布する作業
通気緩衝シートの上にウレタンを塗布していきます。
サラセーヌEZの主剤と硬化剤
自着層式ウレタン塗膜防水通気緩衝工法

非自着層式(AV工法)

ポリエステルの不織布(通気緩衝シート)を貼る作業

ポリエステル繊維の孔あき不織布になっている通気緩衝シートを使ったウレタン防水です。下地に専用ボンドを使用して貼り付け乾燥後、高粘性な目止めウレタン防水材を塗布していきます。不織布が下地水分を吸収し、不織布層内を水分が移動し、脱気筒へと逃げていく施工方法です。

目止めウレタン防水材はこの通気緩衝シートの孔を通して下地に密着するため、ボンドや目止め塗布など自着層式と比較しすると工程は増えますが強力な耐風圧性があるため強風が心配される地域ではよく採用されます。

シートを敷いた後にウレタンを塗布して目止めする
孔あき不織布の通気緩衝シートを敷いた後、立ち上がり用ウレタンを塗布し目止めしていきます。
立ち上がりを補強布で補強する
立ち上がりなどは補強布で補強していきます。
非自着層式ウレタン塗膜防水通気緩衝工法

機械固定式

既存防水層が極度にひび割れていたり膨れや破れなどが著しい場合は撤去した後に通気緩衝工法を採用する場合もありますが、機械固定では屋上の一番最下層にある躯体コンクリートスラブに直接金具で固定するため撤去の必要がありません。

但し鉄骨系等のALC建物の場合、躯体下地がコンクリートスラブではなくALCである場合も少なくなく、その場合は固定金具取付強度がとれないため耐風圧的にも問題が生じるため採用できません。