アスファルト防水

アスファルト防水の概要

アスファルト防水の基本は火器を使用しながらアスファルト類を高温で液体化し、冷却すると固化する特性があります。改修工事では改質アスファルト防水などのシートをあぶって貼り付けるトーチ工法、最近では火器を使用しない環境にやさしいながらも耐久性のある常温で施工可能な冷工法などがあります。

溶融釜などの大型機械を屋上に設置しながらアスファルトを溶解して施工する熱工法は新規建設時に選択されることが多く、改修工事ではその使用例は少ない傾向にあります。

耐久性

長い歴史を持つアスファルト防水は、その実績と信頼性から多くの建物で採用されている防水方法の一つです。新築時の屋上防水で一番多く採用されている防水工法で信頼性と耐久性を兼ね備えています。

特に新築で施工するアスファルト防水は他の防水材と比較しても、プライマーからアスファルトルーフィング・溶融アスファルト塗布・ストレッチングルーフィングなどを塗布したり貼ったりするなど複雑な工程を経て何層も重ね合わせるように層を蓄積するため防水層の厚みがあるため耐久性に優れます。

新築時はの屋上防水はそういったアスファルト防水を採用しているマンションやビルも多いため、その上から新規防水層を施工するアスファルト系の改修工事ではトーチ工法や常温工法(冷工法)で施工しています。

費用感

改修工事ではトーチ工法や常温工法が主流です。大型になる溶融窯を使うような、アスファルトを溶かして流す工法としての流し貼りの施工法は準備も含めるとコストがかかりますが、弊社の改修工事では施工しないため、アスファルト防水の中の施工としても施工費用は手頃で済みますが材料費は社会情勢も加わって年々高くなる傾向にあります。

施工種類

弊社の改修工事は常温工法(冷工法)や改修アスファルトシートトーチ工法です。

改修アスファルトトーチ工法

裏面に溶融性の高いアスファルトがコーティングされたルーフィングをトーチバーナーで炙り溶かしながら張り付けていく工法です。火気は使用しますが熱工法とは異なり溶融釜が必要ありません。アスファルト防水の種類の中では良く使われる防水工法です。

常温工法(冷工法)

粘着質のアスファルトが裏面にコーティングされたルーフィングを張り付けていく施工方法です。

熱工法

新築時のコンクリートスラブを打設した一番最初の防水層として扱われることが多い施工方法です。固化したアスファルト材料を溶融釜にて入れ約250~300℃に溶かし液状になった高温の溶融アスファルトを屋上床面に流しながらルーフィングを張り付けていきます。液状化した溶融アスファルトは塗膜防水の機能も一部備わっているため、出隅や入隅の多い部分にも有効です。

施工メリット

改修アスファルトトーチ工法や常温工法、熱工法それぞれ屋上の使い方や仕様でも変わってきます。

既存防水層との相性と施工

一般的には、既存防水層と同系統の防水材料を、新規防水層として用いるのがセオリーですが、改修工事の場合、新築工事とは異なり、既に使用中の建物への施工となりますので、火気の仕様ができない等の弊害もあるかと思います。その場合は、新規防水材にあった下地調整剤やプライマーを用いることで、異種材料の仕様も可能となります。

また既存防水層がアスファルト防水や保護コンクリートの場合は、新規防水層となるいずれのアスファルト防水も施工しやすいのですが、シート防水やウレタン塗膜防水などでは適用ができない場合も多くあります。さらに都市部では火気の使用ができない現場があり、この場合はウレタン防水やアスファルト防水でも冷工法や常温塗膜併用工法が適切です。また病院の屋上や飲食店の屋上などには、臭気や騒音に配慮した工法の選定も必要になってきます。

施工方法・工期・施工上や環境上の注意点

同じアスファルト防水といえども、それぞれ「改修アスファルトトーチ工法」「常温工法」「熱工法」では、まるでまったく違う防水工事のように施工方法が異なります。いずれも正しいアスファルト防水の施工というものは、たとえ作業自体が適正に行われていたとしても、そもそもの調査時などの既存防水層の見極めが甘かったりすると、採用した施工仕様が適正ではなくなる場合もあります。

既存防水層の状態だけでなく、建物自体が鉄筋コンクリートか鉄骨なのか、または最下層の躯体となる下地がコンクリートスラブなのかALCの違いでもたわみが異なるため、いずれも徹底した調査診断があってはじめて最適なアスファルト防水ができるというものです。

材料・道具など

溶融釜:アスファルトを溶かすための釜。100~300Lのアスファルトの溶融が可能。主にガスバーナーを用いて溶融する。

電気釜:従来のガスバーナー型に代わり、電気タイプ溶融釜。静穏で煙の発生も少ない環境配慮型。
ルーフィング貼り付け用ローラー:トーチ工法などに用いるローラー。ルーフィングを転がしながら貼り付け、転圧までできる。

転圧工具:長い柄が付いたタイプや、手のひらサイズのタイプがある。冷工法に用いる粘着タイプのルーフィングの場合、水密性確保の為に転圧作業が重要。

塗布量管理工具:ウレタン塗膜を塗り広げる際に用いる工具。一般的にはクシ目状になっており、クシ目の溝の深さにより塗布量を一定に管理できる。