ベランダ(バルコニー)防水

ベランダ防水の概要

ベランダ防水は屋上のように既存防水層を撤去してする場合と異なり、既存の防水層の上から施工するのが一般的です。工法的に一番多い施工がウレタン防水ですが、既存の防水層を保護するという意味で劣化度が軽微な場合は簡易的な施工としてトップコートのみにする施工もあります。

施工種類

バルコニーの防水(既存防水層撤去)

経年劣化のクラックや膨れなどが補修だけでは済まない場合は既存防水層を撤去してからウレタン防水をしますが、屋上と異なり撤去せざるを得ない施工というのはバルコニーでは限られた場合が多いです。既存の防水層を撤去して施工する場合は通気緩衝工法で施工します。

施工前

こちらは築年数が相当数経過している鉄筋コンクリートの建物のバルコニーです。シート系の防水層が複数積層されてる上に長尺シートで仕上げられていて、浮きが確認できておりドレン回りにもクラックがある状態です。

撤去・下地調整等

雨漏りを防ぎ、長期間防水の耐久性を維持するためにはスラブまですべての防水層を撤去し防水する必要があります。要は新築時のコンクリートの状態まで戻してからの施工です。撤去後はポリマーセメントで下地調整をして、立ち上がり部動きのある場所などはシールで補修をします。翌日以降ポリマーセメントが乾燥したらプライマーを塗布します。

通気緩衝シート貼り付け

通気緩衝シートを正しく突き付けて貼りジョイントテープをしていきます。シート端末は補強布を貼り脱気筒を設置していきます。

ウレタン塗布後完成

ウレタン一層目を塗布乾燥後2層目を塗布しトップコートで仕上げます。ドレンも交換し完工が雨天時の様子ですが雨溜まりもなく平滑して仕上げられています。

バルコニーの防水(保護コンクリート)

保護モルタルの場合は通気緩衝工法で施工します。

トップコート

一番手軽に行える施工方法です。厳密に言えば防水というよりかは既存の下地や防水層を紫外線や雨などの自然環境から保護し、今以上劣化させないために塗布する方法です。

構造や種類

バルコニーやルーフバルコニー、ベランダ共に施工方法はほぼ変わりませんが、バルコニーは屋根の張り出しがないためベランダと比較して自然環境からの影響がより厳しいためより施工方法を選ぶ必要があります。ベランダでは既存防水層を撤去して施工することはまずありませんが、ルーフバルコニーでは劣化状態によっては既存防水層を撤去しての施工もあります。

ベランダとバルコニーの違い

ベランダは共有部が多いですが、バルコニーの場合は区分分けしていない場合が多いです。

ベランダ(共有部)
ベランダ
バルコニー(区分けなし)
バルコニー

ベランダ床の設備など

避難ハッチまわりや上階から伸びている配管周りも漏水箇所になりやすいため防水施工処理の前のシールも肝心な施工ポイントになります。

避難ハッチ周りのシール施工
避難ハッチ周り
配管周りのシール施工
配管周り

調査診断

床部や立ち上がり部などのクラックなどの劣化のチェック、ストレーナーやドレンへのゴミ詰まりが影響して漏水原因になりかねないかの調査をします。

現状特に耐久性に問題がない場合はトップコートだけでメンテナンスができるかを調査診断します。また、点検口などの避難ハッチ周りのさびやシール切れなどもチェックします。

メンテナンス

建物全体的な改修工事をするもののベランダ防水を施工しない場合においても、ドレン等にゴミが詰まって漏水原因を作らないかどうか等の点検をします。

排水溝を塞ぐような物の置き方を避ける、定期的な清掃を促すなども管理者としては伝えて置くことが望ましいとは言えます。