横浜市の施設で行った屋上防水改修アスファルト防水を活かした施工内容
建物も築15年を過ぎる頃から、屋上や外壁、防水層といった部分に少しずつ経年劣化が現れてきます。中でも屋上の防水層は、ふだん目にする機会が少ないため、不具合に気づきにくい場所のひとつです。
今回ご相談いただいたのは、横浜市中区にある築18年の2階建て施設。屋上のアスファルト防水が劣化し、表面の剥がれや水たまりが目立ってきたとのことでした。特に設備の架台まわりでは防水層がめくれ、雨水の浸入が懸念される状態に。
この記事では、既存のアスファルト防水を活かしながら、ウレタン塗膜防水で耐久性と防水性能を再構築した改修工事の内容を詳しくご紹介します。
防水工事は「下地」が重要!塗るだけでは不十分
こちらの施設で使われていた既存アスファルト防水は、長年の紫外線や雨風によって油分がにじみ出る“ブリード”という現象が起きやすくなります。この状態のままウレタン防水を塗ってしまうと、防水材がうまく密着せず、数年で剥がれたり変色したりするリスクがあるのです。
そこで今回は、架台まわりにはブリード対策として専用のバインダー(接着剤のような役割を果たす素材)を使用。さらに表面の汚れや古い防水層の浮きを「ケレン作業」と呼ばれる手作業で丁寧に取り除きました。その後、粉塵を除去してプライマー(接着性を高める下塗り材)を塗ることで、防水材の密着性を高めました。


ウレタン塗膜は、重ねて塗ることで強くなる
今回、防水層には高品質なウレタン塗膜材「オルタックエース」を採用。ウレタン防水の最大の特徴は、下地の凹凸にもピタッと密着し、わずかな動きにも追従してくれる柔軟性です。
屋上のように直射日光や雨風を直接受ける場所では、防水層にしっかりと膜厚(まくあつ:厚みのこと)を持たせることが大切です。今回は、1層目・2層目・3層目と丁寧に塗り重ねることで、均一で厚みのある強固な防水層を形成しました。
層ごとにしっかり乾燥を確認しながら作業を進めたため、多少時間はかかりましたが、仕上がりは「ふくれ」や「はがれ」に強く、長持ちする構造となっています。



最後の仕上げが大切!トップコートで紫外線をブロック
ウレタン防水は水に強い反面、紫外線にはあまり強くありません。そのため、最後の仕上げとして「トップコート」を全体に塗布しました。このトップコートは防水層を紫外線や摩耗から守る“保護膜”としての役割を果たします。
また、今回使ったトップコートには微細なチップが含まれており、滑り止め効果もありました。細かなところは刷毛を使用して丁寧に塗り込んでいきました。仕上がりは見た目も落ち着いたマットな質感で、美観と安全性の両方を兼ね備えた安心の仕上がりとなりました。

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防水工事のポイントは「見えない部分」にあり
防水工事では、目に見える表面だけでなく、「下地」や「排水構造」など、普段見えない部分こそが耐久性を左右します。今回の施工でも、排水口(ドレン)のまわりの処理や、内部にたまる湿気を逃がす「脱気筒」の設置など、細部まで丁寧に対応しました。
よくあるトラブルは、「とりあえず表面を塗って終わり」にしてしまい、数年で剥がれや膨れが起こるケース。こうなると結局、早いうちに再施工が必要になります。
だからこそ、見えない部分までしっかり手を入れ、一つひとつの工程を丁寧に積み重ねることが、長持ちする防水層を作るカギなのです。
防水改修工事で得られた安心と効果
今回の屋上防水改修では、既存のアスファルト防水層を撤去せずに活かし、その上からウレタン塗膜防水を重ねる工法を採用しました。これにより、建物への負担を抑えつつ、コストや工期の効率化が図れる改修が可能となりました。
防水層のひび割れや剥がれが目立っていた屋上も、下地処理から塗膜の積層まで丁寧に行ったことで、雨水の侵入リスクが解消され、建物内部の環境が安定しました。特に設備架台まわりの処理をしっかりと行ったことで、これまで気になっていた部分への浸水対策が強化されています。
さらに、ウレタン塗膜をしっかりと厚みをもたせて施工したことで、防水層の耐久性が高まり、今後のメンテナンス周期を長く確保できるようになりました。表面も滑らかに整い、見た目の清潔感や施設全体の印象にも良い影響を与えています。
このような防水改修によって、防水性能の回復だけでなく、長期的な維持管理のしやすさ、美観の向上、建物の資産価値維持といった複数の効果が得られました。屋上の防水は、施設の安全性や快適性を支える重要な要素であり、今回のように状態に合わせた適切な改修を行うことが、建物全体の健全性につながります。

防水工事は「やって終わり」ではありません
防水工事を一度行えばそれで終わりというわけではありません。大切なのは、その後も長く良い状態を保つための「点検」や「メンテナンス」です。
例えば、排水口(ドレン)は半年に1回程度の掃除が理想です。ゴミがたまって詰まってしまうと、排水不良が起こり、屋上に水が溜まる原因になります。
また、トップコートは時間が経つと劣化してくるため、3〜5年ごとに表面の状態を点検することが推奨されます。状態によっては再塗装が必要になることもあります。
さらに、10年を目安に、専門業者による全体の点検を受けることで、目に見えない部分の劣化も早期に発見でき、重大なトラブルを防ぐことができます。「最近、水が溜まりやすい」「ひび割れが出てきた気がする」と感じたら、早めにご相談ください。