屋上ゴムシート防水の劣化と改修工事|その1

横浜市保土ヶ谷区の3階建て建物の屋上で防水改修工事を行いました。既存の防水層はゴムシート防水でしたが、経年劣化による破断や剥がれが発生し、防水機能が低下していました。

特に、雨水の浸入や鳥害によるダメージが目立ち、建物の寿命にも影響を及ぼす可能性がある状態でした。

今回の工事では、既存のゴムシート防水を撤去し、新たにウレタン塗膜防水(通気緩衝工法)を施工することになりました。防水工事の流れを詳しく解説しながら、屋上防水のメンテナンスの重要性についても触れていきます。

目次

既存防水層(ゴムシート)の劣化状況と問題点

まず、現地調査の結果、ゴムシート防水の経年劣化が著しく進んでいることが判明しました。防水層にはシートの破断や剥がれ、雨水の浸入による下地のアルカリ成分の溶出など、複数の問題が確認されました。

特に、ゴムシートの穴や破れが目立つ箇所があり、そこから雨水が侵入して下地のコンクリートに雨染みができていました。この白い雨痕は、コンクリート内部の水酸化カルシウムが溶け出し、空気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとして析出したものです。こうした症状は、防水層の機能低下を示す重要なサインです。

また、鳥害によるシートの損傷も確認されました。特にカラスなどの鳥は、屋上のシートをつついたり剥がしたりすることがあり、防水層の寿命を縮める原因の一つとなります。放置すると雨水の浸入が進み、建物全体の耐久性に影響を及ぼすため、早急な対処が必要でした。

既存ゴムシート防水の撤去作業

(1) 立上り部のゴムシート撤去

まず、屋上の立上り部分から既存防水層の撤去を行いました。立上り部は比較的シートの浮きや剥がれが生じやすい箇所であり、接着の状態も平場とは異なります。

撤去作業では、カッターを使用してシートに切れ目を入れ、「短冊」状に剥がす方法を採用しました。この方法により、一気に大きな面積を剥がそうとするよりも作業性が向上し、下地を傷めるリスクも抑えることができます。

(2) 平場のゴムシート撤去

平場のゴムシートは、立上り部分よりも接着力が強く、手作業での撤去が困難なため、電動工具を使用しました。今回は、電動ハンマーに平ノミタイプのアタッチメントを装着し、防水層を効率よく削り取る方法を選択しました。

平場のシート撤去では、防水層と下地の接着強度を見極めながら作業を進めることが重要です。接着が強い箇所では無理に剥がすと下地を損傷させる可能性があるため、慎重に施工を進めました。

総撤去と廃材処理の重要性

今回の現場では、立上り・平場ともに防水層をすべて撤去する「総撤去」を選択しました。状況によっては、既存の平場部分を残して活用する場合もありますが、今回はゴムシートの劣化が全体に広がっており、防水性能を確保するためにも全面撤去が適切と判断しました。

防水層の総撤去を行う場合、以下の点に注意が必要です。

廃材の処理コスト

 防水シートや接着剤の残骸は産業廃棄物として適切に処理する必要があります。特にゴムシートは重量があるため、処理費用がかかる点を考慮する必要があります。

仮防水の必要性

 撤去後、次の工程までに雨が降る可能性があるため、仮防水を施すことが重要です。仮防水を怠ると、撤去後の下地に直接雨水が浸透し、建物の劣化を促進させる恐れがあります。

定期的なメンテナンスの重要性

 本来、防水層の寿命は約10年とされていますが、5年ごとのトップコート塗布などのメンテナンスを行うことで、より長く防水機能を維持できます。しかし、こうしたメンテナンスの重要性を十分に説明しない業者もおり、結果として早期劣化を招くケースもあります。

下地調整(カチオン系樹脂モルタルの施工)

防水層を撤去した後は、新しい防水層を施工するために下地調整を行います。今回の現場では、カチオン系樹脂モルタルを使用しました。

(1) カチオン系樹脂モルタルとは?

カチオン系樹脂モルタルは、セメントに高分子樹脂を混ぜた下地調整材で、接着性が高く、下地の細かな凹凸を均す効果があります。特に、既存防水層を撤去した後の下地には凹凸やクラックが発生していることが多く、これを平滑にすることで新たな防水層の密着性を向上させます。

(2) 施工方法とポイント

金鏝(かなごて)を使用して、屋上全面にカチオン系樹脂モルタルを塗り込む「土間しごき」作業を行いました。この工程では、以下のポイントが重要です。

均一な厚みで塗布する:厚みにムラがあると、次の防水層に影響を及ぼすため、丁寧に均します。

クラックの補修を同時に行う:細かなひび割れがある場合は、カチオン系樹脂モルタルを用いて補修を行います。

十分な乾燥時間を確保する:下地調整材が完全に乾燥する前に次の工程へ進むと、防水層の剥がれや膨れの原因となるため、適切な養生期間を設けます。

屋上防水工事で実際に行われたカチオン樹脂モルタルを使用した下地補修の様子をご紹介いたします。防水層の基礎となる下地がいかに作られているか是非ご覧ください。

まとめ

今回の施工では、既存のゴムシート防水が劣化し、雨漏りのリスクが高まっている状態でした。これに対して、既存防水層を総撤去し、下地調整を適切に行うことで、新たに施工するウレタン塗膜防水の密着性と耐久性を向上させる準備が整いました。

防水工事は単なる「防水層の塗り替え」ではなく、下地の状態を正しく把握し、適切な工程を踏むことが重要です。

次回は、「ウレタン塗膜防水(通気緩衝工法)」の施工工程をご紹介します。屋上防水の改修を検討されている方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

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