ウレタン塗膜防水密着工法で築19年の屋上を再生!【前編】

横浜市港北区の築19年の鉄骨造4階建て建物において、防水改修工事を実施しました。施工箇所は屋上で、既存の防水層はウレタン塗膜防水でしたが、経年劣化や過去の手抜き施工が原因で防水機能が低下し、破断が発生していました。
今回の工事では、ウレタン塗膜防水密着工法を採用し、確実に建物を守る防水層を再構築しました。各工程を1つずつ丁寧に解説し、現場での工夫や課題への対策も含めて紹介します。
この記事を通じて、専門的な施工内容をイメージしやすくなるとともに、防水工事の重要性が伝われば幸いです。
1.現状調査
まず、既存防水層の状態を確認しました。平場(屋上の水平部分)はウレタン塗膜防水、立上り(屋上の垂直部分)はアスファルト防水が施工されていました。こうした異なる防水材の組み合わせは稀なケースで、施工の過程で防水破断が生じやすい状況でした。
また、伸縮目地にはエラスタイトが残されたままで、十分な処理が行われていない状態でした。このような手抜き施工では防水材の密着性が損なわれ、劣化が加速します。
これらを踏まえ、今回は既存防水層を全面的に撤去し、下地から徹底的に施工をやり直す方針を採用しました。

2.アルミ笠木の撤去
屋上の端部にはアルミ笠木が設置されていましたが、防水端部を露出させて再施工するため、一時的にこれを撤去しました。笠木の取り外しは、端部処理を確実に行うために欠かせない工程です。
慎重に取り外し、既存構造に損傷を与えないよう注意を払いました。この作業によって、防水層の再施工がしやすくなり、端部の漏水リスクを低減できます。

3.既存ドレンの撤去
次に、既存のドレン(排水口)を撤去しました。この現場では、ドレン周辺の防水層が剥離し、排水が滞留していました。
ドレン部分は防水工事の中でも特に劣化しやすい箇所であり、改修用ドレンを取り付けることで、排水性能を確保しつつ漏水リスクを最小限に抑えることが可能です。ここでは鋳物素材の既存ドレンを丁寧に取り外しました。

4.既存床目地
既存の伸縮目地部分では、エラスタイトがそのまま残されていました。この状態は、防水材が目地に密着せず、長期的な耐久性を損なう原因となります。
そのため、既存の目地を全面的に撤去し、新しいシーリング材を充填する計画としました。目地部分は防水工事の要であり、手を抜くことなく丁寧に施工することが重要です。

5.立上り防水シートの撤去
立上り部分にはアスファルト防水が施工されていましたが、タール系のアスファルトはウレタン防水材との相性が悪いため、電動斫り機を使って完全に撤去しました。
撤去を怠ると、新しい防水層の密着性が損なわれ、長期的な剥離や破断を引き起こす原因となります。今回は「絶縁」を重視し、材料の相性問題を解消するために丁寧に作業を行いました。

6.立上り部のケレン・清掃
防水シートを撤去した後、立上り部分をスクレーパーでケレン処理しました。さらにカッターナイフを駆使して、残った斫りカスやゴミをきれいに取り除きます。
この工程は、次の工程で使用する防水材の密着性を高めるために非常に重要です。防水材が「下地の状態に依存する」ことを考慮し、隅々まで丁寧に仕上げました。

7.カチオン系樹脂モルタルによる下地調整
下地調整にはカチオン系樹脂モルタルを使用しました。このモルタルは、アスファルト系素材を「絶縁」する役割を果たし、防水材の密着性を向上させます。
ローラーやコテを使用して表面を滑らかに整え、下地の平滑性を確保しました。この段階で下地がしっかり整えば、防水層の仕上がりと耐久性が大きく向上します。

8.プライマー塗布
カチオン系樹脂モルタルで調整した下地にプライマーを塗布しました。プライマーは防水材を下地に密着させる接着剤のような役割を果たします。
特にタール系素材が残る場合には、プライマーがタール成分の影響を抑制し、防水材との相性を改善します。これにより、防水層の剥離リスクを低減しました。

9.入隅シーリングの施工
立上りと平場が交わる「入隅」部分には、防水層の膜厚が薄くなりやすく、破断リスクが高まるポイントです。
ここでは「捨て打ちシーリング」を行い、三角形の補強を施しました。この処置によって、平場と立上りの接続部分にかかる負担を軽減し、防水層の耐久性を高めます。

10.床目地シーリングの施工
最後に、床面の伸縮目地部分にポリウレタンシーリング材を充填しました。この材料は、目地の動きに追従しながら高い防水性能を発揮します。
無収縮モルタルなどの代用品もありますが、今回は最も信頼性が高いとされるポリウレタン材を使用しました。この工程を丁寧に仕上げることで、目地部分の防水性を確保しました。

あとがき
今回の記事が、皆様の防水工事に対する理解を深める一助となれば幸いです。
防水工事は、建物の寿命を延ばすだけでなく、快適な居住空間を維持するためにも非常に重要なものです。
「防水工事って、どれくらい費用がかかるんだろう?」「建物に合った施工が知りたい」
など、ご質問がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
次回のブログでは、改修用ドレンや脱気筒の取り付け、そしてウレタン防水層の本施工へと進んでいきます。