築32年川崎市の集合住宅　外壁タイルの浮きや剥がれを丁寧に補修建物を長く守るための施工とは

2025年12月12日

神奈川県川崎市にある4階建て築32年の集合住宅で、外壁タイルの浮きや剥がれを原因とした漏水対策工事を行いました。

今回ご紹介するのは、ただタイルを張り替えるだけではなく、下地の劣化状況を見極めながら、防水性能を再構築することに重きを置いた補修です。見た目の美しさはもちろん、長期的に建物を守るための施工内容を、現場写真とともに解説していきます。

打診調査とヒアリングで補修範囲を的確に判断

まず最初のステップは、打診調査によるタイルの浮きや剥離の確認です。専用の打診棒で外壁を軽く叩くと、浮いているタイルは「カンカン」と高い音を響かせ、健全な箇所とは明らかに異なる音がします。そうした音の違いを頼りに、補修が必要な部分を丁寧にマーキングしていきます。

この段階で施主様とのヒアリングも行い、雨漏りが発生している箇所や気になる症状を確認します。外から見える被害だけでなく、内部に隠れた不具合も把握するためには、事前の調査が何より重要です。

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補修が必要と判断された箇所は、ディスクグラインダーを使って周囲の目地を切り、タイルを慎重に撤去します。必要最小限の範囲で行うことで、周辺の健全なタイルへの影響を抑えることができます。

撤去後の下地を確認すると、内部のモルタルが劣化して粉状になっていたり、鉄筋が錆びて爆裂を起こしているケースがありました。このような状態では、表面だけをきれいに仕上げても、すぐに同じような症状が再発してしまいます。そこで、劣化が見られる部分はすべて除去し、防錆処理や下地の再成形を行いました。

下地の補修では、まず表面の汚れや粉塵を除去する作業から始まります。硬いブラシやブロワーを使って、細かい粉塵を完全に取り除きます。このひと手間が、後の接着性能を大きく左右するため、見た目には地味でも非常に重要な作業です。

下地が整ったら、ポリマーセメント系の補修材でモルタル成形を行います。欠損部をしっかり埋めることで、新たに貼るタイルとの密着性を高めることができます。また、防錆剤の塗布やプライマーの処理も併せて行い、今後の雨水浸入リスクに備えました。

タイルの再貼りでは、可能な限り既存のタイルを再利用しました。現場で丁寧に剥がしたタイルを保管しておくことで、色味や質感を揃えることができます。ただし破損や汚れがある場合は、メーカーから同等品を取り寄せ、違和感のない仕上がりを目指しました。

目地詰めには、既存タイルの目地色に合わせた調色材を使用しています。特に集合住宅や商業ビルでは、美観の印象が資産価値にも直結するため、目地の色合わせにも細心の注意を払っています。最終的には遠目から見ても補修跡が分からない、自然な仕上がりを実現できました。

浮きの程度が軽度であれば、樹脂注入による補修も可能です。エポキシ樹脂を使用したピンニング工法は、タイルを剥がすことなく内部の隙間を充填し、タイルの再固定ができる非常に優れた方法です。

この工法では、目地に細かな穴をあけ、専用の器具でエポキシ樹脂を低圧で注入します。樹脂が内部に行き渡った後は、目地部分を塞いで完了です。タイルの仕上がりを壊したくない場合や、補修範囲を限定したい場合には非常に効果的です。

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今回の工事によって、外壁からの漏水は完全に止まりました。また、タイルの浮きや剥がれといった外観上の不安もなくなり、建物全体の印象がぐっと良くなったと施主様からもご満足の声をいただきました。

タイルの浮きや剥がれは、放置しても自然に直ることはありません。むしろ時間の経過とともに被害が拡大し、補修の範囲も広がってしまいます。小さな異変に気づいた段階で適切な診断と工事を行えば、コストも最小限に抑えられ、建物の安全性や資産価値をしっかり維持することができます。

横浜防水職人では、現場の状況や使用環境に応じて、張り替えや注入補修など最適な工法をご提案しています。タイルの見た目はもちろん、その内側までしっかりと守る補修工事をお届けいたします。