港北区の築36年マンション外壁と軒裏の浮き、爆裂、手すり壁の補修工事

2025年11月25日

このブログでは前回に引き続き、横浜市港北区にある築36年のマンションの補修塗装工事
についてご紹介いたします。
マンションの規模は、3階建てのマンションで、世帯数は12世帯です。

前回のブログでは、回り階段壁面の横一文字に入ったクラックの補修工事についてご紹介し
ました。

防水工事は神奈川県横浜市の横浜防…

下地補修と目地形成・港北区のマンション塗装改修工事 | 横浜防水職人港北区の築36年・3階建てマンションの大規模改修工事の中から、今回は内壁に入った横一文字のクラック補修をご紹介します。通常の縦方向のクラックとは異なり、打ち継ぎ目…

今回は、外壁や軒裏にある浮きや爆裂などの補修工事についてのご紹介です。
横一文字のクラックとは原因が異なるため、工事方法も違います。家の外壁に浮きや爆裂の
ある方は、ご参考になさってください。

軒天の浮きの補修工事

最初は、ベランダ下の軒天部分にある浮きの補修工事です。

現地調査をした際に目視で浮きが確認できましたので、足場を組んだ後に打診検査をしまし
た。
写真右側上部にある、先端の丸い金属棒を打診棒といい、先端で天井を叩いて浮きの範囲を
調べます。

打診検査の結果、マークした部分に浮きの範囲があることがわかりました。
打診棒で叩くと、浮いているところは音が軽く聞こえ判別ができます。この音の判別は、熟
練した職人でないと聞き分けることはできません。

検査を終えて、浮きの範囲に印をつけたら、浮いている部分の皮すきと呼ばれるヘラで丁寧
に塗膜を撤去します。

こちらの写真は、剥がした塗膜部分にコテを使って埋め戻し（補修）をしているところです
。
カチオン系のセメントを使って埋めています。カチオン系のセメントは、接着が良くこうし
た薄い補修工事に適した補修材です。
逆に言えば、カチオン系のセメントは厚付けができません。
剥がした塗膜分の段差を埋める、こうした薄付けする部分には、適した補修材です。

最後にハケに水を付けて、壁と補修材をなじませ平滑にします。
この後は、塗装担当が模様付けをしてから塗装しますが、塗装工事について詳しくは次の機
会にお話いたします。

爆裂の補修工事

次に紹介するのは、爆裂部分の補修工事です。
爆裂の多くは、壁の内部で鉄筋が錆びて膨らみ、錆がモルタルを押し上げ壁面が割れます。

まずはノミとハンマーを使って、爆裂部分を手で削ります。
爆裂の度合いによっては、機械を使うこともあり、状況によって職人の判断が必要です。

そして爆裂箇所が削れたら、接着剤であるユニエポをハケで塗り込み、乾かぬうちにKモルタル（補修用軽量エポキシ樹脂モルタル）を押し込むように充填をします。（こちらも軒裏の補修と同じく埋め戻しをしますが、厚みが必要となります。）

ユニエポには、防錆効果もあるので、爆裂の補修工事には適した材料です。
通常下地などは、乾いてから上塗り材を重ねますが、Kモルタルの場合はユニエポが乾く前
に充填しないと接着しません。
そのため、時間との勝負になります。
Kモルタルは、硬化剤と主剤を混ぜ合わせて作る材料なため、材料を作る時間も必要です。
しっかりと作業工程や天気などを確認して、材料を準備し手早く補修工事を進めることが、
Kモルタルを使用した爆裂の補修には求められます。

こちらも、補修箇所の周りをぼかして壁面と段差をなじませて仕上げ、軒天と同じく模様付
けから塗装する予定です。

階段の手すりの補修工事

階段の手すり壁も、打診棒で浮きの状態を確認してから補修工事を始めます。
手すり壁の中の浮きは、範囲だけでなく深さも確認することが重要です。
写真に写っている赤い印は深さを、緑の印は間隔、青の印は部分注入の穿孔箇所と範囲を記してい
ます。

樹脂を浮き部分に注入するためのピッチは、150ミリから200ミリ間隔にし、浮きがないと
ころには穴は空けません。そのため、途中間隔が空いたように見えますが、無駄な箇所に補
修工事をしない証明でもあります。

実は、下地補修の費用を見積で確定させることはできません。
足場のない現地調査では、あくまでも表面上に見える異変から予想することしかできないた
め、建物の〇％という形で見積を出します。

こちらのパーセンテージは、建物によって変動があり、最終的な下地補修箇所の決定は、足
場を組んだ後に打診調査をして初めて費用が明確になるのです。
例えば、穿孔するピッチなども、ピッチの幅が狭ければより密度の高い工事ができます
が、それだけ費用がかかります。

そのため、こうした予算の中でバランスをみて、ギリギリ予算を抑えることのできるピッチ
にして、補修箇所を決定するのです。

今回の補修工事では、予算との兼ね合いを見ながら、通常通り150ミリから200ミリの間隔
で穿孔し、樹脂を注入します。

さらに階段の手すり壁内の浮きは、穴をあける作業にも注意が必要です。
注入口の穴は、ドリルの回転のみで穴あけをします。
ドリルは、回転のみか振動＋回転のどちらかで穴をあけることができるのですが、今回は振
動があると、中の空洞部分が割れてしまうことがあるため、回転のみで穴をあける必要があ
りました。
しかし回転だけでは穴があけづらいため、どうしてもの場合は振動も使いますが、注意しな
がら、浮いている部分に直径4ミリほどの穴をあけます。
この時、深さにも注意します。
穴が、空洞部分に届いていないと、樹脂を注入しても浮き部分に入っていきません。そのた
め、先ほどの深さを記した赤い印が必要となります。

穿入後、エアーダスターで、穿内を掃除します。
缶の中に空気が入っていて、細いノズルを穴に差し込み噴射すると、ドリルで削れた粉塵を
外に排出。これによって、細かいホコリまで出すことができます。

掃除が終わったら、注入ガンでエポキシ樹脂を注入します。
ガンで注入する際に、手動で圧をかけてグッと入れ込むのですが、注入口根元の漏れを防ぐ
ために、小さいカットウエスでまわりを埋めてから差し込みました。

穴は小さいですが、中は隙間が広がっているため十分に樹脂で満たせるように慎重に注入し
、最後に樹脂が固まる前にアンカーピンを差し込みます。（アンカーピンは、躯体と浮き部を
密着させるために、差し込んでいます。）
アンカーピンを打ち込むと、打ち込んだピンの分量だけ樹脂が穴からあふれ出ますので、詰
めていたウエスを取り、あふれた樹脂を使って穴を手すり表面と平坦になるように仕上げます。