横浜市港北区の築24年の集合住宅で行う防水工事 共用部の最適なメンテナンスとは

神奈川県横浜市港北区にある、築24年を迎えた3階建ての集合住宅にて、ベランダ・廊下・階段の防水工事を実施しました。

年月とともに建物は少しずつ劣化していきますが、特に屋外に面した場所は、紫外線や風雨の影響を直接受けるため、劣化の進行が早く、メンテナンスの必要性が高い箇所でもあります。

今回の工事では、ベランダにはウレタン塗膜防水を、そして廊下と階段には長尺シートを用いた防水仕上げを行いました。

集合住宅ならではの工事計画の考え方や、施工箇所ごとの工法の特長、そして防水の要となるポイントを丁寧にお伝えします。

目次

集合住宅において欠かせない防水と長尺シートのメンテナンス

集合住宅における防水メンテナンスの必要性は、戸建て住宅とは少し異なる観点から考える必要があります。なぜなら、集合住宅には共用部があり、そこは住人全員が毎日使う場所だからです。

廊下や階段といった部分が滑りやすくなっていたり、見た目が古びていたりすると、住人の安全性や快適性に悪影響を与えるだけでなく、建物全体の印象や資産価値にも直結します。

また、ベランダも「半共用部」として扱われることが多く、仮にそこから漏水が発生すると、下階の住戸に大きな損害を与えるリスクがあります。

今回の工事では、そうした集合住宅の特徴をふまえ、「安全性」「防水性」「美観」の3つをバランスよく高める施工を意識しました。

集合住宅ベランダ 施工前の状態

ベランダ防水の再構築

ベランダは屋外に面し、風雨や紫外線の影響を直接受ける場所であると同時に、室内とも接しているため、防水性能が低下すると居室内部への雨漏りのリスクが高くなる重要な箇所です。

今回の現場では、バルコニーの防水層に大きな膨れや剥がれは見られなかったものの、表層の摩耗・退色が進み、防水機能が大きく低下している状況でした。

ベランダ防水清掃
ケレン清掃

今回採用したのは、「密着工法」と呼ばれる下地に直接ウレタン防水材を塗布する方法です。この工法は、既存の防水層の状態が大きく損なわれていない場合に有効で、撤去工程を最小限に抑えることができるため、コストと施工期間のバランスも良好です。

ウレタン防水の魅力は、液状の材料を現場で塗り広げることにより、継ぎ目のない均一な防水層を形成できることにあります。ベランダのような形状が複雑な箇所や、立ち上がり部分にもシームレスに対応できる点は、他の防水材にはない大きな強みです。

ただし、この工法で何より重要になるのは「下地の処理」です。

どれだけ良い防水材を使用しても、下地の段差が整っていなかったり、脆弱な塗膜が残っていたりすれば、防水層は剥がれやすくなります。つまり、下地づくりこそが防水工事の肝であり、ここに時間と手間を惜しまないことが、長持ちする仕上がりを実現する秘訣なのです。

階段部の防滑処理

階段は共用部の中でも特にリスクの高い場所です。とくに雨の日や夜間など、滑りやすい段差での事故は、住人同士のトラブルにもつながりかねません。

そこで今回採用したのが、「タキステップ」と呼ばれる階段専用の長尺シートです。一般的な塩ビシートとは異なり、段鼻(ステップ先端部)に特殊な滑り止め加工が施されており、機能性とデザイン性を兼ね備えた製品です。

施工にあたっては、各段の寸法や傾斜、既存の摩耗状態を丁寧に採寸・調整しながら、一段一段に合わせてシートをカット。下地との接着には専用の接着剤を用い、端部には溶着処理を行うことで隙間なく仕上げることができました。

階段という場所の特性上、施工の丁寧さと材料の選定力が、住人の安全に直結することを改めて実感させられる工事となりました。

【関連動画】

廊下の長尺シート貼り替え

長尺塩ビシートは、廊下のリニューアルに最適な材料です。特に、防滑性に優れたノンスリップタイプを使用することで、高齢者や小さなお子様にも安心な歩行空間が実現します。

施工前には、旧塗膜の撤去と不陸調整を入念に行い、下地の段差を可能な限り均一に整えました。これにより、貼り付けたシートの浮きや剥がれを防ぎ、長期にわたって安定した耐久性を確保しています。

ジョイント部分には溶着処理を施し、目地からの水の侵入をシャットアウト。長尺シートには、防滑性に加えて、遮音性・耐水性・断熱性といった複数の機能が備わっているため、集合住宅の共用部に非常に適した仕上げ材といえます。また、色味や柄を選ぶことで、建物全体のイメージアップにもつながります。

このように、見た目だけでなく機能性を考慮した素材選びが、共用部の価値を高めるカギになります。

【関連動画】

これからの安心につながる防水工事

今回の工事では、防水層の再生と共用部のリニューアルを同時に行うことで、住人の安全・快適性・建物の価値をトータルに守ることができました。

弊社で大切にしているのは、ただ見た目を新しくするだけでなく、「これからの10年を支える下地づくり」にこだわることです。

防水の“肝”は、塗ることでも、貼ることでもなく、その“前の段階”にあります。だからこそ、劣化の兆候が見えたときには、早めの相談・計画が肝心です。

見えないところほど、専門家の目で診て、必要な対策を打つ。それが、住まいを長く守るための一番の近道なのです。

「最近、共用部が滑りやすくなってきた」「そろそろ修繕時期だけど、どこから手をつければいいか分からない」そんな時は、お気軽にぜひ弊社にご相談ください。

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